マンションの外壁は、日々風雨や紫外線にさらされています。そのため、劣化や汚れが進んでしまうと、見た目だけでなく、建物の耐久性や防水性にも影響が出てきます。そこで、定期的に外壁塗装を行うことが必要ですが、いつやるべきなのでしょうか？ また、費用や期間、注意点はどのようなものがあるのでしょうか？ この記事では、マンションの外壁塗装について、詳しく解説していきます。
マンションの外壁塗装の目的と必要性
マンションの外壁塗装の目的は、主に以下の3つです。
- 美観の向上
- 建物の保護
- 資産価値の維持・向上
美観の向上は、マンションの印象や住み心地に大きく関わります。色あせや汚れが目立つと、老朽化した感じがしてしまいますが、新しい塗料で塗り替えると、明るく清潔な雰囲気になります。また、色やデザインを変えることで、イメージチェンジもできます。
建物の保護は、外壁塗装の最も重要な役割です。外壁塗装は、外壁の表面に塗膜を形成することで、外壁材を風雨や紫外線から守ります。外壁材が劣化すると、ひび割れや剥がれが発生し、雨水が浸入してしまう可能性があります。雨水が浸入すると、建物の鉄筋や構造体に錆や腐食が生じ、建物の強度や安全性が低下します。また、カビやコケが発生し、室内の環境や健康にも悪影響を及ぼします。外壁塗装を行うことで、これらのトラブルを防ぐことができます。
資産価値の維持・向上は、マンションの将来的な売却や賃貸にも関係します。マンションの外観は、物件の価値や魅力を左右する要素のひとつです。外壁塗装を行うことで、マンションの美観や品質を高めることができ、購入者や入居者に好印象を与えることができます。また、外壁塗装を行うことで、建物の寿命を延ばすことができ、長期的にメンテナンス費用を抑えることができます。これらのことは、マンションの資産価値を維持・向上させることにつながります。
マンションの外壁塗装のタイミングと周期
マンションの外壁塗装のタイミングは、一般的には以下のような基準で判断されます。
- 築年数
- 外壁の劣化状況
- 塗料の種類
築年数は、外壁塗装の目安となるものです。マンションの外壁塗装の周期は、平均的には約10年と言われていますが、これはあくまで目安であり、実際には外壁の劣化状況や塗料の種類によって変わります。したがって、築年数だけでなく、外壁の劣化状況や塗料の種類も考慮する必要があります。
外壁の劣化状況は、外壁の色あせや汚れ、ひび割れや剥がれ、カビやコケなどの有無で判断します。これらの劣化症状が見られる場合は、外壁塗装の必要性が高いと言えます。また、外壁の劣化状況は、マンションの立地や方位、周辺環境などによっても異なります。例えば、海岸や山間部などの風雨の強い地域や、道路や工場などの排気ガスの多い地域では、外壁の劣化が早まる可能性があります。また、南向きや西向きの外壁は、紫外線の影響を受けやすく、色あせやひび割れが起こりやすいと言われています。これらの要因を考慮して、外壁の劣化状況を定期的にチェックすることが大切です。
塗料の種類は、外壁塗装の耐用年数に影響します。塗料には、アクリル系、シリコン系、フッ素系、無機系などの種類があり、それぞれに特徴や価格が異なります。一般的には、アクリル系は安価ですが耐用年数が短く、フッ素系や無機系は高価ですが耐用年数が長いと言われています。シリコン系は、コスパの高い塗料として人気があります。塗料の種類によって、外壁塗装の周期は約5年から約20年まで変わります。したがって、塗料の種類を選ぶ際には、予算や目的に合わせて慎重に検討する必要があります。
マンションの外壁塗装の費用と相場
マンションの外壁塗装の費用は、以下のような要素によって変わります。
- マンションの規模
- 外壁の面積
- 塗料の種類
- 足場の有無
- 付帯工事の有無
- 業者の選択
マンションの規模と外壁の面積は、外壁塗装の費用に直接影響します。マンションの規模が大きく、外壁の面積が広いほど、外壁塗装の費用は高くなります。外壁塗装の費用は、一般的には平米単価で算出されます。平米単価は、塗料の種類や業者の選択によっても変わりますが、大まかには以下のような相場があります。
- アクリル系：約1,000円～2,000円
- シリコン系：約1,500円～3,000円
- フッ素系：約2,000円～4,000円
- 無機系：約3,000円～5,000円
足場の有無は、外壁塗装の費用に大きく影響します。足場を設置する場合は、足場代として約300円～500円の平米単価が加算されます。また、足場の設置には許可や保険などの手続きが必要です。足場を設置しない場合は、ロープや吊り下げ式の機材を使って作業しますが、これには特殊な技術や経験が必要です。したがって、足場を設置しない場合は、作業代として約200円～400円の平米単価が加算されます。
付帯工事とは、外壁塗装と同時に行うことが望ましい工事のことです。例えば、外壁の補修や防水工事、サッシやベランダの塗装などがあります。付帯工事を行うことで、外壁塗装の効果を高めることができますが、費用も増加します。付帯工事の費用は、工事の内容や範囲によって異なりますが、大体は外壁塗装の費用の10％～20％程度と考えておくとよいでしょう。
業者の選択は、外壁塗装の費用だけでなく、品質や安全性にも影響します。業者によって、使用する塗料や工法、見積もりや保証などが異なります。したがって、業者を選ぶ際には、以下のような点に注意して比較することが大切です。
- 資格や実績、口コミなどの信頼性
- 使用する塗料や工法、工程などの技術力
- 見積もりや契約内容、保証期間などの明確性
- アフターサービスや対応力などのサービス力
以上の要素を考慮した上で、マンションの外壁塗装の費用の相場は、以下のようになります。
- 5階建てのマンション（延べ床面積約1,000平米）の場合
- 外壁の面積：約1,000平米
- 塗料の種類：シリコン系
- 足場の有無：有り
- 付帯工事の有無：有り（10％）
- 費用の相場：約3,000,000円～4,000,000円
- 10階建てのマンション（延べ床面積約2,000平米）の場合
- 外壁の面積：約2,000平米
- 塗料の種類：フッ素系
- 足場の有無：有り
- 付帯工事の有無：有り（20％）
- 費用の相場：約8,000,000円～10,000,000円
これらの費用は、あくまで目安であり、実際には業者や条件によって変わります。したがって、複数の業者から見積もりを取って比較することがおすすめです。また、見積もりを取る際には、以下のような点に注意してください。
- 見積もりは、無料で出してもらえるかどうか
- 見積もりは、明細や内訳が分かりやすく記載されているかどうか
- 見積もりは、追加料金や割引などが含まれているかどうか
- 見積もりは、保証期間やアフターサービスなどが記載されているかどうか
マンションの外壁塗装の期間と工程
マンションの外壁塗装の期間は、以下のような要素によって変わります。
- マンションの規模
- 外壁の面積
- 外壁の劣化状況
- 塗料の種類
- 足場の有無
- 天候や季節
- 作業員の人数
マンションの規模と外壁の面積は、外壁塗装の期間に直接影響します。マンションの規模が大きく、外壁の面積が広いほど、外壁塗装の期間は長くなります。外壁塗装の期間は、一般的には日数で算出されます。日数は、塗料の種類や作業員の人数によっても変わりますが、大まかには以下のような相場があります。
- アクリル系：約10日～15日
- シリコン系：約15日～20日
- フッ素系：約20日～25日
- 無機系：約25日～30日
外壁の劣化状況は、外壁塗装の前に行う必要がある外壁の補修や防水工事に影響します。外壁の劣化が進んでいる場合は、補修や防水工事の範囲や内容が増えるため、外壁塗装の期間も延びる可能性があります。外壁の補修や防水工事の期間は、工事の内容や範囲によって異なりますが、大体は外壁塗装の期間の10％～20％程度と考えておくとよいでしょう。
塗料の種類は、外壁塗装の工程に影響します。塗料には、一液型と二液型の種類があります。一液型は、塗料をそのまま塗るだけで乾燥する塗料です。二液型は、塗料と硬化剤を混ぜて塗ると乾燥する塗料です。一液型は、乾燥時間が短く、作業が簡単ですが、耐久性や防水性が低いと言われています。二液型は、乾燥時間が長く、作業が難しいですが、耐久性や防水性が高いと言われています。塗料の種類によって、外壁塗装の工程は以下のようになります。
- 一液型の場合
- 下塗り：塗料を薄めて塗る。乾燥時間は約1時間。
- 中塗り：塗料をそのまま塗る。乾燥時間は約2時間。
- 上塗り：塗料をそのまま塗る。乾燥時間は約2時間。
- 合計：約5時間
- 二液型の場合
- 下塗り：塗料と硬化剤を混ぜて塗る。乾燥時間は約4時間。
- 中塗り：塗料と硬化剤を混ぜて塗る。乾燥時間は約8時間。
- 上塗り：塗料と硬化剤を混ぜて塗る。乾燥時間は約8時間。
- 合計：約20時間
足場の有無は、外壁塗装の作業効率に影響します。足場を設置する場合は、作業員が安全に快適に作業できるため、作業効率が高くなります。足場を設置しない場合は、作業員がロープや吊り下げ式の機材を使って作業するため、作業効率が低くなります。足場の有無によって、外壁塗装の期間は約10％～20％程度変わると言われています。
天候や季節は、外壁塗装の作業条件に影響します。雨や風が強い日は、外壁塗装の作業ができない場合があります。また、気温や湿度が高すぎると、塗料の乾燥が遅くなったり、ムラやハゲが発生したりする可能性があります。一方、気温や湿度が低すぎると、塗料の塗り伸びが悪くなったり、塗膜が硬くなったりする可能性があります。外壁塗装に適した気温は、約10℃～30℃、湿度は、約40％～80％と言われています。天候や季節によって、外壁塗装の期間は約10％～20％程度変わると言われています。
作業員の人数は、外壁塗装の作業量に影響します。作業員の人数が多ければ、作業量が分散され、作業効率が高くなります。作業員の人数が少なければ、作業量が集中され、作業効率が低くなります。作業員の人数によって、外壁塗装の期間は約10％～20％程度変わると言われています。
以上の要素を考慮した上で、マンションの外壁塗装の期間の相場は、以下のようになります。
- 5階建てのマンション（延べ床面積約1,000平米）の場合
- 外壁の面積：約1,000平米
- 塗料の種類：シリコン系
- 足場の有無：有り
- 付帯工事の有無：有り（10％）
- 作業員の人数：5人
- 天候や季節：晴れの日が多い春
- 期間の相場：約15日～20日
- 10階建てのマンション（延べ床面積約2,000平米）の場合
- 外壁の面積：約2,000平米
- 塗料の種類：フッ素系
- 足場の有無：有り
- 付帯工事の有無：有り（20％）
- 作業員の人数：10人
- 天候や季節：雨の日が多い梅雨
- 期間の相場：約25日～30日
これらの期間は、あくまで目安であり、実際には業者や条件によって変わります。したがって、業者によって、工程やスケジュールを詳しく説明してもらうことが大切です。また、工程やスケジュールを確認する際には、以下のような点に注意してください。
- 工程やスケジュールは、書面で提示してもらえるかどうか
- 工程やスケジュールは、作業内容や日数、時間帯などが明確に記載されているかどうか
- 工程やスケジュールは、天候やトラブルなどの予備日が含まれているかどうか
- 工程やスケジュールは、近隣住民や管理組合などの協力や配慮が必要な場合が記載されているかどうか
マンションの外壁塗装の注意点とポイント
マンションの外壁塗装を行う際には、以下のような注意点とポイントがあります。
- 近隣住民や管理組合などの関係者との連絡や調整をしっかり行うこと
- 業者の選択や契約内容について、納得いくまで比較や検討を行うこと
- 工事中や工事後に、外壁の状態や作業の進捗や品質を確認すること
- 工事中や工事後に、不具合やクレームが発生した場合は、早めに業者に連絡すること
- 工事後に、保証書や領収書などの書類を大切に保管すること
まとめ
マンションの外壁塗装は、マンションの美観や品質、資産価値を高めるために重要な工事です。しかし、費用や期間、注意点なども多く、簡単にはできない工事でもあります。そこで、この記事を参考にして、マンションの外壁塗装について、より深く理解していただければと思います。また、マンションの外壁塗装を検討されている方は、この記事を参考にして、適切な業者や塗料、工法などを選ぶことができればと思います。マンションの外壁塗装を成功させるために、ぜひ役立ててください。
