開咬（オープンバイト）とは、奥歯を噛み合わせたときに上下の前歯が離れてしまっている状態のことです。
開咬の原因はさまざまですが、指しゃぶりや舌癖などの幼少期の習慣や、遺伝的な要素が関係していることが多いようです。
開咬は見た目だけでなく、食べ物を噛み切れなかったり、発音が不明瞭になったりと、日常生活にも支障をきたす可能性があります。
そこで、開咬を改善する方法として注目されているのがマウスピース矯正です。
マウスピース矯正とは、透明なプラスチック製のマウスピースを歯に装着して歯を動かす矯正方法です。
従来のワイヤー矯正と比べて、見た目が目立たない、取り外しができる、痛みが少ないなどのメリットがあります。
しかし、マウスピース矯正にもデメリットや注意点があります。
また、すべてのマウスピースが開咬に対応しているわけではありません。
そこで、この記事ではマウスピース矯正で開咬を治すことができるのか、どんなメリットや注意点があるのかを解説します。
マウスピース矯正で開咬は治せる？
マウスピース矯正で開咬を治すことは可能です。
ただし、重度の開咬や骨格的な問題がある場合は、マウスピースだけでは不十分で、他の治療法と併用する必要がある場合もあります。
マウスピース矯正で開咬を治すには、前歯を出すように移動させたり、奥歯を沈めるように移動させたりする必要があります。
そのため、前歯から奥歯まで全顎に対応したマウスピースを選ぶことが重要です。
全顎に対応したマウスピースの代表的なものとしては、インビザラインやクリアコレクトなどがあります。
これらのマウスピースはカスタムメイドで作られるため、個々の歯並びや症状に合わせて最適な力加減や動き方を設計することができます。
一方、前歯だけに対応したマウスピースでは開咬を治すことはできません。
前歯だけに対応したマウスピースの例としては、パーフェクトアライナーやシンプルアライナーなどがあります。
これらのマウスピースは既製品で作られるため、歯の動き方や力加減が限られています。
また、奥歯には装着できないため、開咬の原因となる奥歯の位置を変えることができません。
したがって、マウスピース矯正で開咬を治す場合は、全顎に対応したマウスピースを選ぶことが必要です。
また、歯科医師による正確な診断や治療計画も欠かせません。
自分の症状に合ったマウスピースを選ぶためには、専門的な知識や技術を持った歯科医師に相談することが大切です。
マウスピース矯正のメリット
マウスピース矯正には以下のようなメリットがあります。
見た目が目立たない
マウスピースは透明で薄いプラスチック製なので、装着しても目立ちません。
ワイヤー矯正のように金属が口元に見えることはありません。
笑ったり話したりしても気にならないでしょう。
取り外しができる
マウスピースは取り外しができるので、食事や歯磨きのときに外すことができます。
ワイヤー矯正のように食べ物が引っかかったり、歯磨きがしにくかったりする心配はありません。
また、特別なイベントや写真撮影のときにも外すことができます。
痛みが少ない
マウスピースは柔らかいプラスチック製なので、口内を傷つけることはありません。
ワイヤー矯正のように金属が頬や舌を刺激することはありません。
また、マウスピースは少しずつ歯を動かすので、痛みも少なく感じられます。
マウスピース矯正の注意点
マウスピース矯正には以下のような注意点もあります。
虫歯や歯周病のリスクが高くなる
マウスピースは歯全体を覆うので、歯とマウスピースの間に食べ物や細菌が溜まりやすくなります。
そのため、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
マウスピースを装着する前には必ず歯磨きをすることが大切です。
また、定期的に歯科医師に検診してもらうことも必要です。
装着時間を守らないと効果が出ない
マウスピースは取り外しができるので、自分の都合に合わせて外すことができます。
しかし、それが逆にデメリットになることもあります。
マウスピースは1日に約20～22時間装着する必要があります。
装着時間を守らないと、計画通りに歯が動かない、治療期間が延びる可能性があります。
自己管理能力が必要です。
後戻りしやすい
マウスピース矯正では、治療後に後戻りを防ぐために、リテーナーという装置を使用する必要があります。
リテーナーは歯の位置を固定するためのもので、マウスピースと似ていますが、力を加えないものです。
リテーナーは治療後にしばらくの間は1日中装着し、その後は夜間だけ装着することが推奨されます。
リテーナーを装着しないと、歯が元の位置に戻ってしまう可能性があります。
マウスピース矯正の費用や期間は？
マウスピース矯正の費用や期間は、個人差や症状の程度によって異なります。
一般的には、マウスピース矯正の費用はワイヤー矯正よりも高くなります。
全顎に対応したマウスピース矯正では、約100万円～200万円、前歯だけに対応したマウスピース矯正では、約30万円～50万円が相場とされています。
また、マウスピース矯正は自由診療なので、保険適用外となります。
マウスピース矯正の期間は、約1年～2年が平均とされています。
しかし、装着時間や交換頻度によっても変わります。マウスピースは2週間～1か月ごとに新しいものに交換する必要があります。
また、歯科医師による定期的なチェックも欠かせません。
まとめ
この記事では、マウスピース矯正で開咬を治すことができるのか、どんなメリットや注意点があるのかを解説しました。
マウスピース矯正は見た目が目立たない、取り外しができる、痛みが少ないなどのメリットがありますが、虫歯や歯周病のリスクが高くなる、装着時間を守らないと効果が出ない、後戻りしやすいなどの注意点もあります。
また、全顎に対応したマウスピースを選ぶことや、歯科医師による正確な診断や治療計画も重要です。
開咬は見た目だけでなく、日常生活にも影響を与える可能性があります。
あなたもマウスピース矯正で開咬を改善してみませんか？
自分に合ったマウスピースを選ぶためには、専門的な知識や技術を持った歯科医師に相談することが大切です。
