ネズミは人間の生活にとって大きな害獣です。ネズミが家に侵入すると、食品や家具をかじられたり、糞尿で汚されたりするだけでなく、健康被害も引き起こす可能性があります。ネズミはさまざまな病原体や寄生虫を媒介し、感染症や皮膚炎、ノイローゼなどの症状をもたらすことがあります。また、ネズミに噛まれると、鼠咬症やアナフィラキシーショックなどの重篤な病気になることもあります。ネズミの健康被害は、放置しておくと拡大するため、早めに駆除することが大切です。この記事では、ネズミの健康被害の種類や症状、駆除の方法や対策について詳しく解説します。
ネズミの健康被害の種類と症状
ネズミの健康被害は、大きく分けて以下の4つに分類できます。
- 細菌やウイルスによる感染症
- 寄生虫による感染症
- 騒音による精神的障害
- 噛まれた場合のケガや感染症
それぞれの健康被害について、代表的なものを紹介します。
細菌やウイルスによる感染症
ネズミは、自然界や下水道などでさまざまな細菌やウイルスに感染しています。ネズミが人間の食品や食器、衣類などに触れたり、糞尿を残したりすることで、これらの病原体が人間に伝染することがあります。また、ネズミの死骸や毛も感染源になることがあります。ネズミが媒介する細菌やウイルスによって引き起こされる感染症には、以下のようなものがあります。
- 鼠咬症（そこうしょう）：ネズミに噛まれたことが原因で発症する感染症です。モニリホルム連鎖桿菌（れんさかんきん）や鼠咬症スピリルムという細菌が原因で、発熱や頭痛、リンパ節の腫れ、咬傷部の化膿などの症状が出ます。重症化すると、敗血症や心内膜炎、腎不全などを引き起こすこともあります。
- レプトスピラ症（ウェイル病）：ネズミの糞尿に含まれるレプトスピラという細菌が、皮膚や粘膜から侵入することで発症する感染症です。発熱や頭痛、筋肉痛、黄疸などの症状が出ます。重症化すると、肝臓や腎臓の障害、出血性肺炎、髄膜炎などを引き起こすこともあります。
- サルモネラ症：ネズミの糞尿や死骸に含まれるサルモネラ菌が、食品や水などに汚染されたものを摂取することで発症する感染症です。吐き気や腹痛、高熱、下痢などの症状が出ます。重症化すると、敗血症や腸炎、関節炎などを引き起こすこともあります。
- ハンタウイルス感染症：ネズミの糞尿や死骸に含まれるハンタウイルスが、空気中に飛散したものを吸入することで発症する感染症です。腎症候性出血熱やハンタウイルス肺症候群という二つの病型があります。発熱や頭痛、腎機能障害、呼吸困難などの症状が出ます。重症化すると、出血やショック、多臓器不全などを引き起こすこともあります。
これらの感染症は、いずれも治療が必要なもので、最悪の場合には死に至ることもあります。ネズミによる感染症の予防には、ネズミの侵入を防ぐことや、ネズミの糞尿や死骸を適切に処理することが重要です。また、ネズミに噛まれた場合や、感染症の症状が出た場合は、早めに医療機関を受診することが必要です。
寄生虫による感染症
ネズミは、自然界や下水道などでさまざまな寄生虫に感染しています。ネズミが人間の食品や食器、衣類などに触れたり、糞尿を残したりすることで、これらの寄生虫が人間に伝染することがあります。また、ネズミの体に寄生しているダニやノミなどの外部寄生虫が、人間に飛び移ることもあります。ネズミが媒介する寄生虫によって引き起こされる感染症には、以下のようなものがあります。
- ツツガムシ病：ネズミに寄生しているツツガムシというダニが、人間に飛び移って咬むことで発症する感染症です。ツツガムシはリケッチアという細菌を媒介し、発熱や頭痛、リンパ節の腫れ、咬傷部の発赤などの症状が出ます。重症化すると、肝脾腫大や出血傾向、髄膜炎などを引き起こすこともあります。
- ノミ媒介チフス：ネズミに寄生しているノミが、人間に飛び移って咬むことで発症する感染症です。ノミはリケッチアという細菌を媒介し、発熱や頭痛、発疹、リンパ節の腫れなどの症状が出ます。重症化すると、敗血症や肝脾腫大、昏睡などを引き起こすこともあります。
- エキノコックス症：ネズミの糞尿に含まれるエキノコックスという寄生虫の卵が、食品や水などに汚染されたものを摂取することで発症する感染症です。エキノコックスは肝臓や肺などの臓器に嚢胞を形成し、圧迫や破裂によって機能障害や炎症を引き起こします。嚢胞の大きさや位置によって、腹痛や黄疸、咳や呼吸困難などの症状が出ます。
- アニサキス症：ネズミが食べた魚に寄生しているアニサキスという寄生虫が、生魚や刺身などを食べたことで発症する感染症です。アニサキスは胃や腸に付着し、激しい腹痛や吐き気、下痢などの症状を引き起こします。重症化すると、アレルギー反応や腸閉塞などを引き起こすこともあります。
これらの感染症は、いずれも治療が必要なもので、最悪の場合には死に至ることもあります。ネズミによる感染症の予防には、ネズミの侵入を防ぐことや、ネズミの糞尿や死骸を適切に処理することが重要です。また、生魚や刺身などを食べる場合は、新鮮で衛生的なものを選ぶことや、十分に加熱することが必要です。
騒音による精神的障害
ネズミは、夜間に活動することが多く、家の中で走り回ったり、かじったり、鳴いたりすることで、大きな騒音を発します。ネズミの騒音は、人間の睡眠を妨げたり、ストレスを与えたりすることで、精神的な健康被害を引き起こす可能性があります。ネズミの騒音によって引き起こされる精神的な健康被害には、以下のようなものがあります 。
- 不眠症：ネズミの騒音によって、入眠困難や中途覚醒などの睡眠障害が起こることがあります。不眠症は、日中の眠気や集中力低下、イライラや不安などの症状を引き起こします。また、不眠症は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、うつ病などの精神疾患のリスクを高めることもあります。
- ノイローゼ：ネズミの騒音によって、過度のストレスや恐怖感が生じることがあります。ノイローゼは、神経過敏や不安障害、強迫性障害などの症状を引き起こします。また、ノイローゼは、自律神経の乱れや免疫力の低下などの身体的な影響も及ぼすことがあります。
- ネズミ恐怖症：ネズミの騒音によって、ネズミに対する強い恐怖心や嫌悪感が生じることがあります。ネズミ恐怖症は、ネズミを見たり聞いたりするだけで、動悸や発汗、震えなどのパニック症状や、逃避行動や回避行動などの社会的な障害を引き起こします。
これらの精神的な健康被害は、いずれも治療が必要なもので、生活の質を低下させることがあります。ネズミの騒音による精神的な健康被害の予防には、ネズミの侵入を防ぐことや、ネズミの騒音を遮断することが重要です。また、睡眠の質を高めることや、ストレスを解消することも必要です。
噛まれた場合のケガや感染症
ネズミは、人間に対して攻撃的な場合や、驚かせた場合や、捕まえた場合などに、噛んだり引っ掻いたりすることがあります。ネズミに噛まれたり引っ掻かれたりすると、ケガや感染症のリスクが高まります。ネズミに噛まれたり引っ掻かれたりすることで引き起こされるケガや感染症には、以下のようなものがあります 。
- 創傷感染：ネズミに噛まれたり引っ掻かれたりすると、傷口に細菌やウイルスが侵入することで、創傷感染が起こることがあります。創傷感染は、傷口の赤みや腫れ、痛み、膿みなどの症状を引き起こします。重症化すると、蜂窩織炎や敗血症などを引き起こすこともあります。
- アナフィラキシーショック：ネズミに噛まれたり引っ掻かれたりすると、ネズミの唾液や皮膚に含まれるタンパク質に対するアレルギー反応が起こることがあります。アナフィラキシーショックは、全身の血管が拡張し、血圧が急激に低下することで、ショック状態に陥る重篤なアレルギー症状です。アナフィラキシーショックは、呼吸困難や意識障害、蕁麻疹などの症状を引き起こします。最悪の場合には死に至ることもあります。
- 狂犬病：ネズミに噛まれたり引っ掻かれたりすると、ネズミが感染している場合には、狂犬病ウイルスが伝染することがあります。狂犬病は、中枢神経系に侵入することで、発熱や頭痛、咽頭痙攣、興奮状態などの症状を引き起こします。重症化すると、昏睡や痙攣、呼吸停止などを引き起こすこともあります。狂犬病は、ほぼ100%致死的な感染症です。
これらのケガや感染症は、いずれも治療が必要なもので、最悪の場合には死に至ることもあります。ネズミに噛まれたり引っ掻かれたりすることの予防には、ネズミに近づかないことや、ネズミに触れないことが重要です。また、ネズミに噛まれたり引っ掻かれたりした場合は、傷口を消毒することや、早めに医療機関を受診することが必要です。
ネズミの駆除の方法と対策
ネズミの健康被害を防ぐためには、ネズミの駆除が必要です。ネズミの駆除には、以下のような方法があります 。
- 毒餌：ネズミが食べると死ぬように作られた餌を、ネズミの出入り口や巣穴などに設置する方法です。毒餌は、ネズミの数を効果的に減らすことができますが、毒餌を食べたネズミの死骸が家の中に残ると、悪臭や感染症の原因になることがあります。また、毒餌は、ペットや子供にとっても危険なので、注意して使用する必要があります。
- 罠：ネズミを捕まえるために作られた器具を、ネズミの出入り口や巣穴などに設置する方法です。罠には、ネズミを殺すタイプと、ネズミを生け捕りにするタイプがあります。罠は、ネズミを直接捕まえることができますが、罠の設置や回収に手間がかかることや、ネズミが罠に慣れてしまうことがあります。また、罠は、ペットや子供にとっても危険なので、注意して使用する必要があります。
- 防除：ネズミの侵入を防ぐために、家の中や周辺の環境を整備する方法です。防除には、ネズミの出入り口や隙間をふさぐことや、ネズミの餌となる食品やゴミを処理することや、ネズミの巣作りに使われる物資を片付けることなどがあります。防除は、ネズミの発生を予防することができますが、すでにネズミが家に侵入している場合には、効果が限られることがあります。
これらの方法は、それぞれにメリットとデメリットがあります。ネズミの駆除には、状況に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。また、ネズミの駆除には、専門的な知識や技術が必要な場合もあります。自分でネズミの駆除を行うのが困難な場合や、ネズミの被害がひどい場合は、ネズミ駆除のプロに依頼することも検討してください。
まとめ
ネズミは、人間の生活にとって大きな害獣です。ネズミが家に侵入すると、さまざまな健康被害を引き起こす可能性があります。ネズミの健康被害には、感染症や精神的障害、ケガや感染症などがあります。これらの健康被害は、いずれも治療が必要なもので、最悪の場合には死に至ることもあります。ネズミの健康被害を防ぐためには、ネズミの駆除が必要です。ネズミの駆除には、毒餌や罠や防除などの方法があります。ネズミの駆除には、状況に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。また、ネズミ駆除のプロに依頼することも検討してください。
ネズミの健康被害は、放置しておくと拡大するため、早めに対策することが大切です。ネズミの駆除を行うことで、家の中を清潔に保ち、健康に暮らすことができます。
