今回は、ネズミ駆除に使われる殺鼠剤の一種であるデスモアについて、猫にとってどのような影響があるのか、詳しく解説していきます。
デスモアとは?
デスモアは、クマリン系の抗凝固性殺鼠剤の一種です。クマリン系の殺鼠剤は、ネズミが何度も食べることで、体内に毒物が蓄積され、やがて出血性の中毒症状を引き起こして死に至らせるという仕組みです。デスモアに含まれる有効成分は、ワルファリンという物質で、ワルファリンは人間にとっても血液凝固阻止剤として使われることがあります。しかし、ワルファリンは猫にとっても非常に危険な毒物です。
猫がデスモアを食べてしまうとどうなるのか?
猫がデスモアを食べてしまうと、ワルファリンが体内に吸収され、ビタミンK依存性の凝固因子の生成を妨げます。これにより、猫の血液は凝固しにくくなり、内出血や外出血を起こしやすくなります。猫がデスモアを食べてしまった場合の中毒症状は、以下のようなものがあります。
- 鼻血や口内出血
- 皮下出血や筋肉内出血
- 胸腔内出血や腹腔内出血
- 脳出血や関節内出血
- 貧血やショック
- 呼吸困難や神経症状
猫がデスモアを食べてしまった量や個体差によって、中毒症状の発現には差がありますが、一般的には、摂取後1~3日で出血傾向が現れます。猫の中毒量は、ワルファリンであれば、5~50mg/kgの単回摂取、または1mg/kgの5日間連続摂取で中毒症状が発現するとされています。デスモアに含まれるワルファリンの濃度は0.05%ですので、2kgの猫が20gのデスモアを食べてしまえば、中毒量に達するということになります。
猫がデスモアを食べてしまった時の対処法は?
猫がデスモアを食べてしまったと気づいたら、すぐに獣医師に連絡してください。獣医師の指示に従って、猫を病院に連れて行きましょう。病院では、以下のような治療が行われます。
- 嘔吐や胃洗浄などの解毒処置
- ビタミンKの投与や血液製剤の輸血などの拮抗処置
- 出血の止血や輸液などの支持療法
猫がデスモアを食べてしまった場合の予後は、摂取量や治療の早さによって異なりますが、ビタミンKという拮抗薬があるので、治療が早ければ予後は一般的に良好です。しかし、重度の出血や臓器障害を起こしている場合には、救命できないこともあります。
猫がデスモアを食べないようにするには?
猫がデスモアを食べないようにするには、以下のような予防策があります。
- デスモアを猫の届かない場所に置く
- デスモアを密閉容器に入れて保管する
- デスモアを散布した場所に猫を近づけない
- デスモアを食べたネズミを猫が食べないようにする
まとめ
デスモアは、ワルファリンという有効成分を含むクマリン系の抗凝固性殺鼠剤です。猫がデスモアを食べてしまうと、出血性の中毒症状を引き起こして死に至る可能性があります。猫がデスモアを食べてしまったと気づいたら、すぐに獣医師に連絡してください。猫がデスモアを食べないようにするには、デスモアを猫の届かない場所に置いたり、散布した場所に猫を近づけないようにしたりすることが大切です。
猫の健康と安全のために、デスモアの取り扱いには十分注意しましょう。