POSシステムとは
POSシステムとは、小売業の売上や商品をデータ化して管理するためのシステムのことです。
POSとはPoint of Saleの略で、販売時点情報管理と訳されます。
POSシステムは、店舗のレジや本部のサーバーなどのハードウェアと、商品情報や売上分析などの機能を提供するアプリケーションから構成されます。
POSシステムは、1878年にアメリカで発明されたレジスターという金額表示機器から発展しました。
レジスターは、店員が売上金をごまかすのを防ぐ目的で作られましたが、その後、商品の種類や価格などの情報も記録できるようになりました。
1970年代には、バーコードを読み取って商品管理をするPOSシステムが開発されました。
現在では、キャッシュレス決済やECサイトとの連携など、多様な機能が追加されています。
POSシステムには、一体型やフリーレイアウト型、PC型やハンディ型、タブレット型など、さまざまな種類があります。
それぞれにメリットやデメリットがありますが、店舗のコンセプトやスペースに合わせて選択できます。
POSシステムを導入するメリット
POSシステムを導入するメリットは、以下のようなものが挙げられます。
会計業務の効率化
POSシステムは、バーコードを読み取るだけで商品の価格や個数を自動的に計算してくれます。
また、キャッシュレス決済や自動釣銭機と連携することで、お金のやり取りをスムーズに行えます。
これにより、レジの時間短縮やミス削減、レジスタッフの負担軽減などが期待できます。
商品・在庫管理の質の向上
POSシステムは、販売した商品の情報をリアルタイムに集計・管理できます。
これにより、在庫の状況や売れ筋商品を把握しやすくなります。
また、販売データを分析することで、顧客のニーズに合わせた商品展開やサービス拡充を図ることもできます。
マーケティングの精度の向上
POSシステムは、消費者の購買行動や傾向を詳細に把握できます。
これにより、アップセル・クロスセルやABC分析などの戦略立案に活用できます。
また、クラウド上でデータを共有することで、複数店舗間の情報交換や競合分析も容易になります。
POSシステムの導入にかかる費用相場
POSシステムの導入にかかる費用は、以下のような要素によって変わります。
- POSシステムの種類
- 導入する機器の数や性能
- ソフトウェアの機能やカスタマイズ度
- 導入する店舗の規模や業種
- 導入後の保守・サポートの有無や内容
一般的には、POSシステムの種類によって大きく費用が異なります。
POSシステムには、主に以下の3種類があります。
- スタンドアロン型:ネットワークに接続されていない単体で動作するタイプ。初期費用は安いが、機能や拡張性が限られる。
- サーバー型:店舗内にサーバーを設置し、複数の端末を接続するタイプ。初期費用は高いが、機能や安定性が高い。
- クラウド型:インターネット上のサーバーにデータを保存し、スマホやタブレットなどで操作するタイプ。初期費用は低いが、月額費用が発生する。
参考までに、以下に各種類のPOSシステムの導入費用の目安を示します。
POSシステムの種類 | 初期費用 | 月額費用 |
スタンドアロン型 | 10万円~30万円 | なし |
サーバー型 | 100万円~300万円 | 1万円~5万円 |
クラウド型 | 0円~10万円 | 1万円~3万円 |
POSシステムの見積もり金額に影響する要素
POSシステムの見積もり金額は、導入する機器やソフトウェアの内容によって異なります。
具体的には、以下のような項目が見積もり金額に影響します。
レジ端末
POSレジと呼ばれる専用端末や、スマホやタブレットなどを利用する場合があります。
端末の数や性能によって価格が変わります。
バーコードリーダー
商品やポイントカードなどを読み取るための機器です。
レーザー式やCCD式など種類があります。
プリンター
レシートや領収書などを印刷するための機器です。
サーマル式やインパクト式など種類があります。
キャッシュドロアー
現金や小銭を収納するための引き出しです。
レジ端末と連動して開閉するタイプが一般的です。
決済端末
クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済を行うための機器です。
専用端末やスマホアプリなどがあります。
ソフトウェア
POSシステムの中核となるソフトウェアです。
会計・決済機能はもちろん、販促支援機能や商品・売上分析機能、在庫管理機能、顧客管理機能など、様々な機能を備えたものがあります。
また、カスタマイズや連携するサービスによっても価格が変わります。
保守・サポート
導入後の故障やトラブルに対応するためのサービスです。
電話やメールでのサポートや、現地での修理などがあります。
保守・サポートの内容や期間によっても価格が変わります。
これらの項目について、導入したいPOSシステムの提供会社に見積もりを依頼することで、具体的な金額を知ることができます。
POSシステムの導入の進め方
POSシステムの導入には、以下のような手順があります。
導入目的と要件を明確にする
まずは、POSシステムを導入する目的と要件を明確にしましょう。
どんな業種や規模の店舗で、どんな機能や性能のPOSシステムが必要か、予算はどれくらいかなどを考えます。
POSシステムの提供会社を比較・選定する
次に、POSシステムの提供会社を比較・選定します。インターネットで検索したり、専門家に相談したりして、自分の店舗に合ったPOSシステムを探します。
提供会社の実績や評判、サポート体制などもチェックしましょう。
見積もりを依頼し、契約する
見積もりを依頼し、契約します。導入したいPOSシステムの内容や費用、納期などを確認し、納得したら契約します。
契約時には、保守・サポートの内容や期間、解約条件なども確認しましょう。
POSシステムを設置し、動作確認する
POSシステムを設置し、動作確認します。
提供会社によっては設置作業や動作確認を行ってくれる場合もありますが、自分で行う場合は、取扱説明書やマニュアルに従って正しく設置しましょう。
また、すべての機器やソフトウェアが正常に動作するかどうかもチェックします。
従業員に操作方法を教育する
従業員に操作方法を教育します。POSシステムの操作方法は、提供会社からの指導やマニュアルなどで学ぶことができます。
しかし、実際に店舗で使うときには、従業員がスムーズに操作できるようになるまで、繰り返し練習する必要があります。
また、操作方法だけでなく、POSシステムのメリットや目的も従業員に伝えましょう。
導入後の保守・サポートを受ける
導入後の保守・サポートを受けます。POSシステムは、導入後も定期的にメンテナンスやアップデートを行う必要があります。
また、故障やトラブルが発生した場合も、迅速に対応できるようにしましょう。
提供会社からの保守・サポートサービスを利用することで、安心してPOSシステムを運用することができます。
まとめ
POSシステムは、店舗運営やマーケティングに役立つシステムです。
しかし、導入するには費用や手間がかかります。
自分の店舗に合ったPOSシステムを選ぶためには、導入目的と要件を明確にし、提供会社を比較・選定し、見積もりを依頼しましょう。
また、導入後も保守・サポートを受けることで、長期的にPOSシステムを活用することができます。