40代男性の転職は、20代や30代の転職と比べて、求人数が少なく、採用のハードルが高いと言われています。しかし、それは転職が不可能ということではありません。40代男性でも、未経験の業界や職種にチャレンジすることは可能です。この記事では、40代男性の転職の現状や、未経験からでも転職できる業種や職種、転職を成功させるためのポイントを解説します。
40代男性の転職の現状
厚生労働省の「令和3年雇用動向調査結果の概況」によると、男性全体の転職入職率は12.5％でした。年齢階級別に見ると、40～44歳男性は5.4％、45～49歳男性では4.5％で、20代、30代の7～15％と比較すると、40代は数字が下がるものの、一定数の転職者がいることが分かります。
前職を辞めた理由は、年齢が上がるにつれて「その他理由（出向等を含む）」など、会社側の理由の比率が高くなります。それを除くと、40代男性は「職場の人間関係」「会社の将来性」「労働時間、休日等の条件」を理由に前職を辞めた人が多いという結果が出ました。
気になる転職後の収入の変化ですが、40代（男女）の転職で、4割近くが賃金増加、3割は変動なし、残りの約3割が減少していました。これは男女を含めたデータであるので一概にはいえませんが、40代男性の転職で収入アップにつながる可能性もあるようです。
40代男性の転職が難しい理由
40代男性の転職が難しいと言われる理由は、主に以下の3つです。
- 求人が少ない
- 採用のハードルが高い
- 社風とのマッチングが要求される
求人が少ない
転職市場で募集されている40代男性のポジションの多くは、一般社員や将来のマネージャー候補です。一般的に社内では求職者の年齢が上がれば上がるほど高いスキルが重視されることに加え、幹部採用の母数はそれほど多くないため、40代の転職希望者が希望の条件を満たしている転職先に希望できる可能性は高いとは言えない状況です。
さらに40代男性にとっては、産業構造の変化という問題もあります。内閣府の「日本経済2017－2018」においても、従来日本経済の中心を担っていた建設業や製造業の人数が大きく減少し、代わりに介護・情報産業などの人員の需要が高まっていることが報告されています。豊富な経験やすぐれた実績があっても、同じ業界でその能力を活かせるとは限らないということです。
上記の内容から、40代男性が培ってきたスキルや経験を生かして働ける場面が少ない状況です。実際、求人サイトに登録されている求人の多くは、35歳以下を対象としています。また、求人票には明記されていないものの、企業側が30代以下の候補者を想定している求人も存在します。
採用のハードルが高い
40代男性に対しては、採用のハードルの高さという問題もあります。40代になるとマネージャーとしての手腕も期待されます。あるいは、採用企業にすぐに貢献できるレベルの高度なスキルや知識が要求されるケースが多く、即戦力人材でなければ採用される見込みは低いでしょう。
年功序列の勤務体系が見直されているとはいえ、企業は従業員の年齢に見合った給与を支払う傾向があります。40代男性のフルタイム勤務者に対しては20代や30代のスタッフよりも高水準の給与体系が取られているケースが多く、結果的に相応の貢献度が要求されることになります。
社風とのマッチングが要求される
社風とのマッチングは、見落とされがちなポイントです。前職や前々職で異なる企業文化においてビジネスをしてきた転職者は、採用企業の担当者から「自社に馴染めるだろうか？」と懸念されがちです。
また、40代という年代に対して採用担当者から下記のような懸念を抱かれることがあります。
- 若手世代に比べて柔軟性に欠ける可能性がある
- 採用担当者や教育担当者より年配であるため、日常のコミュニケーションの際に気まずさを感じる
- 知識の吸収が悪い
個人の能力や性格の問題もあり、これらの懸念事項は必ずしも全員に当てはまるわけではありません。しかし、転職に成功しその企業で活躍している方は、新たな環境や人間関係を謙虚に受け入れ、対応しようとしている方が多いのも事実です。
40代男性の未経験転職におすすめの業種・職種
40代男性が未経験の業界や職種に転職する場合、どのような業種や職種がおすすめでしょうか。ここでは、40代男性の未経験転職におすすめの業種や職種を紹介します。
IT・Web業界
IT・Web業界は、40代男性の未経験転職におすすめの業界のひとつです。IT・Web業界は、日々新しい技術やサービスが生まれ、需要が高まっている業界です。そのため、未経験でも採用される可能性が高く、給与も比較的高い傾向があります。
IT・Web業界で活躍できる職種は多岐にわたりますが、代表的なものとしては以下のようなものがあります。
- エンジニア：プログラミング言語やフレームワークを使って、Webサイトやアプリなどの開発を行う職種です。エンジニアには、フロントエンド、バックエンド、フルスタックなどの分野があります。エンジニアになるには、プログラミングの基礎知識やスキルが必要ですが、独学やオンラインスクールなどで学ぶことができます。
- デザイナー：Webサイトやアプリなどのデザインを行う職種です。デザイナーには、UI（ユーザーインターフェース）デザイナー、UX（ユーザーエクスペリエンス）デザイナー、グラフィックデザイナーなどの分野があります。デザイナーになるには、デザインの基礎知識やスキルが必要ですが、独学やオンラインスクールなどで学ぶことができます。
- マーケター：Webサイトやアプリなどの集客や売上を拡大するための戦略や施策を考えたり、実行したりする職種です。マーケターには、SEO（検索エンジン最適化）、SEM（検索エンジンマーケティング）、SNS（ソーシャルネットワークサービス）などの分野があります。マーケターになるには、マーケティングの基礎知識やスキルが必要ですが、独学やオンラインスクールなどで学ぶことができます。
IT・Web業界で働くメリットは、以下のようなものがあります。
- スキルや実績に応じて高い評価や報酬が得られる
- 在宅勤務やフレックスタイムなどの柔軟な働き方ができる
- 自分のアイデアや創造力を発揮できる
- 最新の技術やトレンドに触れることができる
IT・Web業界で働くデメリットは、以下のようなものがあります。
- 競争が激しく、常にスキルや知識のアップデートが必要
- プロジェクトによっては、納期やクオリティのプレッシャーが大きい
- クライアントやユーザーの要望に応えることが難しい場合がある
教育業界
教育業界は、40代男性の未経験転職におすすめの業界のひとつです。教育業界は、子どもから大人まで、さまざまな年代やニーズに応える教育サービスが提供されている業界です。そのため、未経験でも採用される可能性が高く、やりがいや成長も感じられる業界です。
教育業界で活躍できる職種は多岐にわたりますが、代表的なものとしては以下のようなものがあります。
- 教師：学校や塾などで、生徒や受講者に教科やスキルを教える職種です。教師には、小学校教諭、中学校教諭、高等学校教諭、大学教員、塾講師、家庭教師などの分野があります。教師になるには、教員免許や資格が必要な場合がありますが、教員採用試験や通信教育などで取得することができます。
- カウンセラー：学校や教育機関などで、生徒や受講者の学習や進路に関する相談や支援を行う職種です。カウンセラーには、学校心理士、キャリアコンサルタント、進路指導員などの分野があります。カウンセラーになるには、カウンセリングの基礎知識やスキルが必要ですが、独学やオンラインスクールなどで学ぶことができます。
- 企画・運営：学校や教育機関などで、教育サービスの企画や運営を行う職種です。企画・運営には、カリキュラム開発、教材作成、イベント企画、広報・マーケティングなどの分野があります。企画・運営になるには、教育に関する基礎知識やスキルが必要ですが、独学やオンラインスクールなどで学ぶことができます。
教育業界で働くメリットは、以下のようなものがあります。
- 生徒や受講者の成長や感謝を直接感じられる
- 自分の知識や経験を活かして教えることができる
- 社会貢献度が高い
教育業界で働くデメリットは、以下のようなものがあります。
- 生徒や受講者の個性やレベルに合わせることが難しい場合がある
- 親や保護者とのコミュニケーションにストレスを感じる場合がある
- 給与や待遇が低い場合がある
以上が、40代男性の未経験転職におすすめの業種や職種の紹介でした。40代男性でも、未経験から転職できる業種や職種はたくさんあります。しかし、転職に成功するためには、自分の強みや目標を明確にし、適切な準備やアピールをすることが重要です。次の章では、40代男性の転職を成功させるためのポイントを解説します。
40代男性の転職を成功させるためのポイント
40代男性の転職を成功させるためには、以下のようなポイントを押さえておくと良いでしょう。
- 自分の強みや価値を見つける
- 転職先の企業や業界をリサーチする
- 転職活動におけるツールやサービスを活用する
- 面接や書類選考に向けて準備する
- 転職後のキャリアプランを考える
自分の強みや価値を見つける
40代男性は、これまでの経験や実績を活かして、自分の強みや価値を見つけることができます。自分の強みや価値を見つけることで、転職先の企業に対して自信を持ってアピールすることができます。自分の強みや価値を見つける方法としては、以下のようなものがあります。
- SWOT分析：自分の強み（Strengths）、弱み（Weaknesses）、機会（Opportunities）、脅威（Threats）を分析する方法です。自分の強みや弱みを客観的に把握し、機会や脅威に対応する戦略を立てることができます。
- パーソナルブランディング：自分の特徴や個性を明確にし、他者との差別化を図る方法です。自分のパーソナルブランドを作ることで、自分の価値を高め、転職先の企業に印象付けることができます。
- プロフェッショナルスキル：自分が持っている専門的な知識や技能のことです。自分のプロフェッショナルスキルを把握し、転職先の企業にどのように貢献できるかを具体的に示すことができます。
転職先の企業や業界をリサーチする
40代男性は、転職先の企業や業界について、事前にリサーチすることが大切です。リサーチすることで、自分の希望や条件に合った転職先を見つけることができます。また、転職先の企業や業界の特徴や動向を理解することで、転職活動におけるコミュニケーションやモチベーションを高めることができます。リサーチする方法としては、以下のようなものがあります。
- 求人サイト：インターネット上にある求人情報を提供するサイトです。求人サイトでは、業種や職種、勤務地や給与などの条件で検索することができます。また、求人サイトには、企業の紹介や社員の声などの情報も掲載されている場合があります。
- 業界誌や専門書：特定の業界や職種に関する情報を提供する雑誌や書籍です。業界誌や専門書では、業界や職種の概要やトレンド、事例やノウハウなどの情報を得ることができます。
- セミナーやイベント：転職に関する情報やノウハウを提供するセミナーやイベントです。セミナーやイベントでは、転職のプロや業界の専門家からアドバイスを受けることができます。また、セミナーやイベントには、転職先の企業の担当者や同じ転職希望者と交流する機会もあります。
転職活動におけるツールやサービスを活用する
40代男性は、転職活動におけるツールやサービスを活用することで、効率的に転職先を探すことができます。ツールやサービスを活用することで、自分に合った求人を見つけたり、転職のプロからアドバイスを受けたり、自分の魅力をアピールしたりすることができます。ツールやサービスには、以下のようなものがあります。
- 転職エージェント：転職に関する相談やサポートを行う専門家のことです。転職エージェントには、キャリアコンサルタントやヘッドハンターなどの分野があります。転職エージェントに登録することで、自分の強みや目標を明確にしたり、非公開求人に応募したり、面接や交渉のコツを教えてもらったりすることができます。
- 履歴書・職務経歴書作成サービス：履歴書や職務経歴書を作成するためのサービスです。履歴書や職務経歴書は、転職先の企業に自分の経歴や能力をアピールするための重要なツールです。履歴書・職務経歴書作成サービスには、テンプレートやサンプル、チェックツールなどの分野があります。履歴書・職務経歴書作成サービスを利用することで、効果的な履歴書や職務経歴書を作成することができます。
- 自己分析ツール：自分の性格や適性、価値観などを分析するためのツールです。自己分析ツールには、MBTI（マイヤーズ・ブリッグス・タイプ・インディケーター）やDISC（ディスク）などの分野があります。自己分析ツールを利用することで、自分の特徴や強みを理解したり、自分に合った業種や職種を見つけることができます。
面接や書類選考に向けて準備する
40代男性は、面接や書類選考に向けて、十分な準備をすることが必要です。面接や書類選考では、自分の経歴や能力、転職の動機や志望理由などを、転職先の企業に伝えることができます。面接や書類選考に向けて準備する方法としては、以下のようなものがあります。
- 自己PR：自分の強みや価値をアピールするための言葉や文章のことです。自己PRでは、自分の経験や実績、スキルや知識、性格や価値観などを、具体的かつ簡潔に表現することができます。自己PRを作成する際には、転職先の企業のニーズや求める人材像に合わせて、自分の魅力を伝えることが大切です。
- 履歴書・職務経歴書：自分の経歴や能力を記載するための書類のことです。履歴書や職務経歴書では、自分の基本情報や学歴、職歴、資格などを、正確かつ分かりやすく記入することができます。履歴書や職務経歴書を作成する際には、転職先の企業の業種や職種に関連する内容を重点的に記載することが大切です。
- 面接対策：面接での質問や回答を予想して、練習することです。面接対策では、自分の経歴や能力、転職の動機や志望理由などを、論理的かつ説得力のある言葉で伝えることができます。面接対策をする際には、転職先の企業の特徴や業界の動向、自分の強みや価値などを押さえておくことが大切です。
転職後のキャリアプランを考える
40代男性は、転職後のキャリアプランを考えることも重要です。キャリアプランとは、自分の将来の目標や夢、そのために必要なスキルや経験、具体的な行動計画などをまとめたものです。キャリアプランを考えることで、転職後の仕事に対するモチベーションや方向性を明確にすることができます。キャリアプランを考える方法としては、以下のようなものがあります。
- SMART法：目標を設定するための方法です。SMART法では、目標を以下の5つの要素で表現します。Specific（具体的）、Measurable（測定可能）、Achievable（達成可能）、Relevant（関連性のある）、Time-bound（期限のある）。SMART法を利用することで、現実的かつ明確な目標を設定することができます。
- PDCAサイクル：目標に向けて行動するための方法です。PDCAサイクルでは、以下の4つのステップを繰り返します。Plan（計画）、Do（実行）、Check（評価）、Act（改善）。PDCAサイクルを利用することで、自分の行動や成果を客観的に評価し、改善することができます。
- メンター：自分のキャリアに関する相談や助言をしてくれる人のことです。メンターには、上司や先輩、同僚や友人、専門家や著名人などの分野があります。メンターに相談することで、自分のキャリアに対する視野や知識を広げることができます。
まとめ
40代男性は、転職において多くのチャレンジや困難に直面するかもしれませんが、それを乗り越えることで、自分のキャリアや人生に新たな価値を生み出すことができます。この記事が、40代男性の転職に役立つ情報となれば幸いです。
