公認会計士は、国家資格の一つであり、会計や監査に関する高度な専門知識と技能を持つ人材です。公認会計士は、監査法人や事業会社、コンサルティングファームなど、様々な業界で活躍することができます。しかし、どのような転職先があるのか、また年収はどのくらいなのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、公認会計士の代表的な転職先と年収について解説します。公認会計士の転職を考えている方や、公認会計士の資格を取得したい方の参考になれば幸いです。
公認会計士の転職先
公認会計士の転職先は、大きく分けて以下の5つに分類できます。
- 監査法人
- 事業会社
- コンサルティングファーム
- 投資銀行・投資ファンド
- 会計士事務所・税理士法人
それぞれの転職先の特徴やメリット・デメリットについて、詳しく見ていきましょう。
監査法人
監査法人は、公認会計士の就職先として最も一般的な選択肢です。監査法人では、主に上場企業や大手企業の財務諸表の監査を行います。監査法人には、世界的に有名な4大監査法人（あずさ監査法人、EY新日本監査法人、監査法人トーマツ、PwCあらた監査法人）と、その他の中小監査法人があります。
監査法人で働くメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 監査のプロフェッショナルとして、高い専門性と信頼性を身につけることができる
- 様々な業界や企業の財務状況や経営戦略を知ることができる
- 国際的なネットワークや人脈を築くことができる
- 資格取得のためのサポートが充実している
一方で、監査法人で働くデメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 残業が多く、ワークライフバランスが悪い
- 監査以外の業務に関するスキルが身につきにくい
- 給与水準が低い
- キャリアアップの道が限られる
監査法人で働く公認会計士の平均年収は、約600万円程度です。ただし、年齢や役職、勤続年数によって大きく変わります。一般的には、30代でパートナーになれれば、年収は1000万円以上になりますが、その割合は非常に低いです。
監査法人で働く公認会計士のキャリアパスは、主に以下の3つに分かれます。
- 監査法人に留まり、パートナーを目指す
- 監査法人を退職し、他の転職先に移る
- 監査法人を退職し、独立開業する
監査法人に留まる場合は、パートナーになることが最大の目標です。パートナーになれば、年収は数千万円になりますが、その代わりに責任も重くなります。また、パートナーになるためには、長年の勤務と高い業績が必要です。
監査法人を退職する場合は、他の転職先に移ることが多いです。監査法人出身者は、事業会社やコンサルティングファームなど、様々な業界で求められます。特に、上場企業の経理や内部監査、M&Aに関する業務には、監査の経験が活かせます。また、年収も上がる可能性が高いです。
監査法人を退職し、独立開業する場合は、自分の会計士事務所や税理士事務所を開くことになります。独立開業すれば、自分の好きな仕事を選ぶことができますが、その分リスクも高くなります。また、顧客開拓や経営管理など、監査以外のスキルも必要になります。
事業会社
事業会社は、公認会計士の転職先として最も多くの選択肢があると言えます。事業会社では、主に経理や財務、経営企画、内部監査などのポジションに就くことができます。事業会社には、上場企業や大手企業、ベンチャー企業など、様々な規模や業種の企業があります。
事業会社で働くメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 残業が少なく、ワークライフバランスが良い
- 給与水準が高い
- 事業の成長に直接貢献できる
- 会計以外のスキルや知識も身につけることができる
一方で、事業会社で働くデメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 会計の専門性が低下する可能性がある
- 業界や企業によっては、求人が少ない
- 転職先によっては、業務内容や雰囲気が合わない可能性がある
事業会社で働く公認会計士の平均年収は、約800万円程度です。ただし、年収は企業の規模や業種、ポジションや役職によって大きく変わります。一般的には、上場企業や大手企業では、年収は1000万円以上になることもありますが、ベンチャー企業では、年収は500万円以下になることもあります。
事業会社で働く公認会計士のキャリアパスは、主に以下の2つに分かれます。
- 事業会社に留まり、経営層や役員を目指す
- 事業会社を退職し、他の転職先に移る
事業会社に留まる場合は、経営層や役員になることが最大の目標です。経営層や役員になれば、年収は数千万円になりますが、その代わりに責任も重くなります。また、経営層や役員になるためには、会計だけでなく、経営戦略やマネジメントなど、幅広いスキルや知識が必要です。
事業会社を退職する場合は、他の転職先に移ることが多いです。事業会社出身者は、監査法人やコンサルティングファームなど、様々な業界で求められます。特に、事業会社の経営や財務に関する実務経験は、他の公認会計士との差別化になります。また、年収も上がる可能性が高いです。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームは、公認会計士の転職先として最も高いスキルや知名度を求められると言えます。コンサルティングファームでは、主に企業の経営課題や戦略に関するコンサルティングを行います。コンサルティングファームには、世界的に有名な3大戦略コンサルティングファーム（マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループ、ベイン・アンド・カンパニー）と、その他の中小コンサルティングファームがあります。
コンサルティングファームで働くメリットは、以下のような点が挙げられます。
- トップクラスの企業や経営者と接することができる
- 最先端の経営知識や手法を学ぶことができる
- 国際的なキャリアやネットワークを築くことができる
- 給与水準が非常に高い
一方で、コンサルティングファームで働くデメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 残業が多く、ワークライフバランスが悪い
- プレッシャーやストレスが高い
- 会計の専門性が低下する可能性がある
- 転職のハードルが高い
コンサルティングファームで働く公認会計士の平均年収は、約1200万円程度です。ただし、年収はコンサルティングファームの規模やランク、ポジションや役職によって大きく変わります。一般的には、3大戦略コンサルティングファームでは、年収は2000万円以上になることもありますが、その分競争も激しいです。
コンサルティングファームで働く公認会計士のキャリアパスは、主に以下の3つに分かれます。
- コンサルティングファームに留まり、パートナーを目指す
- コンサルティングファームを退職し、他の転職先に移る
- コンサルティングファームを退職し、独立開業する
コンサルティングファームに留まる場合は、パートナーになることが最大の目標です。パートナーになれば、年収は数億円になりますが、その代わりに責任も重くなります。また、パートナーになるためには、長年の勤務と高い業績が必要です。
コンサルティングファームを退職する場合は、他の転職先に移ることが多いです。コンサルティングファーム出身者は、事業会社や投資銀行・投資ファンドなど、様々な業界で求められます。特に、コンサルティングファームの経営や戦略に関する実務経験は、他の公認会計士との差別化になります。また、年収も上がる可能性が高いです。
コンサルティングファームを退職し、独立開業する場合は、自分のコンサルティングファームを開くことになります。独立開業すれば、自分の好きな仕事を選ぶことができますが、その分リスクも高くなります。また、顧客開拓や経営管理など、コンサルティング以外のスキルも必要になります。
投資銀行・投資ファンド
投資銀行・投資ファンドは、公認会計士の転職先として最も高い報酬やステータスを得られると言えます。投資銀行・投資ファンドでは、主に企業のM&Aや資金調達、株式や債券などの金融商品の取引や運用などを行います。投資銀行・投資ファンドには、世界的に有名なウォール街の大手投資銀行（ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガンなど）と、その他の中小投資銀行やプライベートエクイティファンド、ヘッジファンドなどがあります。
投資銀行・投資ファンドで働くメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 金融業界の最前線で働くことができる
- 金融知識や分析力を高めることができる
- 国際的なキャリアやネットワークを築くことができる
- 給与水準が非常に高い
一方で、投資銀行・投資ファンドで働くデメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 残業が多く、ワークライフバランスが悪い
- プレッシャーやストレスが高い
- 会計の専門性が低下する可能性がある
- 転職のハードルが高い
投資銀行・投資ファンドで働く公認会計士の平均年収は、約1500万円程度です。ただし、年収は投資銀行・投資ファンドの規模やランク、ポジションや役職によって大きく変わります。一般的には、大手投資銀行やプライベートエクイティファンドでは、年収は3000万円以上になることもありますが、その分競争も激しいです。
投資銀行・投資ファンドで働く公認会計士のキャリアパスは、主に以下の3つに分かれます。
- 投資銀行・投資ファンドに留まり、ディレクターやマネージングディレクターを目指す
- 投資銀行・投資ファンドを退職し、他の転職先に移る
- 投資銀行・投資ファンドを退職し、独立開業する
投資銀行・投資ファンドに留まる場合は、ディレクターやマネージングディレクターになることが最大の目標です。ディレクターやマネージングディレクターになれば、年収は数億円になりますが、その代わりに責任も重くなります。また、ディレクターやマネージングディレクターになるためには、長年の勤務と高い業績が必要です。
投資銀行・投資ファンドを退職する場合は、他の転職先に移ることが多いです。投資銀行・投資ファンド出身者は、事業会社やコンサルティングファームなど、様々な業界で求められます。特に、投資銀行・投資ファンドのM&Aや資金調達に関する実務経験は、他の公認会計士との差別化になります。また、年収も上がる可能性が高いです。
投資銀行・投資ファンドを退職し、独立開業する場合は、自分の投資ファンドを立ち上げることになります。独立開業すれば、自分の好きな投資案件を選ぶことができますが、その分リスクも高くなります。また、資金調達や運用管理など、投資以外のスキルも必要になります。
会計士事務所・税理士法人
会計士事務所・税理士法人は、公認会計士の転職先として最も自由度が高いと言えます。会計士事務所・税理士法人では、主に中小企業や個人の会計や税務に関するコンサルティングや代行を行います。会計士事務所・税理士法人には、大手の有名な会計士事務所・税理士法人（日本アンダーソン、日本監査協会、日本税理士会連合会など）と、その他の中小会計士事務所・税理士法人があります。
会計士事務所・税理士法人で働くメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 残業が少なく、ワークライフバランスが良い
- 会計や税務の専門性を高めることができる
- 地域社会に貢献できる
- 独立開業の準備ができる
一方で、会計士事務所・税理士法人で働くデメリットは、以下のような点が挙げられます。
- 給与水準が低い
- 顧客の規模や業種が限られる
- 会計や税務以外のスキルや知識が身につきにくい
- 転職の選択肢が少ない
会計士事務所・税理士法人で働く公認会計士の平均年収は、約500万円程度です。ただし、年収は会計士事務所・税理士法人の規模やランク、ポジションや役職によって大きく変わります。一般的には、大手の会計士事務所・税理士法人では、年収は800万円以上になることもありますが、その分競争も激しいです。
会計士事務所・税理士法人で働く公認会計士のキャリアパスは、主に以下の2つに分かれます。
- 会計士事務所・税理士法人に留まり、パートナーを目指す
- 会計士事務所・税理士法人を退職し、独立開業する
会計士事務所・税理士法人に留まる場合は、パートナーになることが最大の目標です。パートナーになれば、年収は数千万円になりますが、その代わりに責任も重くなります。また、パートナーになるためには、長年の勤務と高い業績が必要です。
会計士事務所・税理士法人を退職する場合は、独立開業することが多いです。独立開業すれば、自分の好きな仕事を選ぶことができますが、その分リスクも高くなります。また、顧客開拓や経営管理など、会計や税務以外のスキルも必要になります。
公認会計士の転職における注意点
公認会計士の転職先は、様々な選択肢がありますが、その分、注意点もあります。以下の点に気をつけて、自分に合った転職先を見つけましょう。
- 自分のキャリアビジョンや目標を明確にすること。公認会計士の転職先は、業務内容や雰囲気、給与や待遇など、様々な面で差があります。自分がどのような仕事にやりがいや興味を感じるのか、どのようなライフスタイルを望むのか、どのようなスキルや知識を身につけたいのかなど、自分のキャリアビジョンや目標を明確にしておくことが重要です。
- 転職市場の動向や求人情報を常にチェックすること。公認会計士の転職市場は、時期や業界によって変動があります。また、求人情報も、インターネットや転職エージェントなど、様々な媒体で公開されています。転職市場の動向や求人情報を常にチェックしておくことで、自分に合った転職先やタイミングを見逃さないようにしましょう。
- 転職活動における自己PRや面接対策をしっかりと行うこと。公認会計士の資格は、転職活動において大きなアドバンテージになりますが、それだけでは十分ではありません。転職先によっては、会計以外のスキルや知識、経験や人柄なども重視されます。転職活動における自己PRや面接対策をしっかりと行うことで、自分の強みや適性をアピールしましょう。
まとめ
公認会計士は、様々なキャリアパスがありますが、その分、転職には慎重になる必要があります。自分に合った転職先を見つけるためには、自分のキャリアビジョンや目標を明確にし、転職市場の動向や求人情報を常にチェックし、転職活動における自己PRや面接対策をしっかりと行うことが大切です。
