ファクタリングとは、売掛金を売却することによって早めに現金を手にする資金調達の方法です。
ファクタリングを利用するメリットや注意点、おすすめのケースなどについて、この記事で詳しく解説していきます。
ファクタリングの仕組み
ファクタリングは、売掛債権（売掛金や受取手形など）をファクタリング会社に譲渡して資金化するサービスです。
売掛債権は通常、支払期日が来るまで現金化できませんが、ファクタリングを利用することで支払期日よりも早く現金を受け取ることができます。
たとえば、支払サイトが「月末締め・翌々月末支払い」で、売掛先企業と取引しているとしましょう。
4月10日に納品した商品分の代金は「4月末締め・6月末支払い」となります。
この場合、売掛金が入金されるのは【6月30日】です。
この【6月30日】よりも前のタイミングで、ファクタリング会社に売掛債権を買取ってもらい、早期に資金を入手できるのがファクタリングとなります。
ファクタリングには大きく分けて2種類あります。
2者間ファクタリングと3者間ファクタリングです。
2者間ファクタリング
2者間ファクタリングとは、売掛債権を譲渡する企業（債権者）と買取るファクタリング会社の2者間で行われるファクタリングです。
この場合、売掛先企業（債務者）は売掛債権の譲渡を知らされません。
そのため、売掛先企業との関係を損なう心配がありません。
2者間ファクタリングでは、償還請求権がないことが多いです。
償還請求権とは、売掛先企業が支払いをしなかった場合に、ファクタリング会社が売掛債権を譲渡した企業に返済を求める権利のことです。
償還請求権がない場合は、売掛先企業の支払い能力や信用力に関わらず、確実に資金調達できるというメリットがあります。
3者間ファクタリング
3者間ファクタリングとは、売掛債権を譲渡する企業（債権者）、買取るファクタリング会社、売掛先企業（債務者）の3者間で行われるファクタリングです。
この場合、売掛先企業は売掛債権の譲渡を知らされます。
そのため、売掛先企業からの信頼度や評価が下がる可能性があります。
3者間ファクタリングでは、償還請求権があることが多いです。
償還請求権がある場合は、売掛先企業が支払いをしなかった場合に、ファクタリング会社が売掛債権を譲渡した企業に返済を求めることができます。
そのため、売掛先企業の支払い能力や信用力が高いことが条件となります。
ファクタリングのメリット
ファクタリングには以下のようなメリットがあります。
- 最短即日で資金調達ができる
- 信用情報に影響なし
- 売掛先に知られることなく資金調達ができる（2者間）
- 赤字・税金滞納などがあっても利用できる
- 売掛金が未回収になるリスクを軽減できる
- 売掛金を早期に資金化できる
- 銀行融資など他の資金調達手段より簡単で早い
最短即日で資金調達ができる
ファクタリングでは最短即日で資金調達が可能で、最近ではオンラインでお申込みから資金調達までできるファクタリング会社が増え、資金調達までの時間がより短くなっています。
銀行融資などでは審査に時間がかかり、数日から数週間かかることもあります。
急な資金需要に対応することができるのはファクタリングの大きなメリットです。
信用情報に影響なし
ファクタリングは融資ではなく売掛債権の売買契約です。
そのため、利用しても信用情報に記録されません。
銀行融資などでは、利用回数や利用額、返済状況などが信用情報に記録され、将来的に他の融資を受ける際に不利になる可能性があります。
信用情報を気にせずに利用できるのはファクタリングの大きなメリットです。
売掛先に知られることなく資金調達ができる（2者間）
2者間ファクタリングでは、売掛先企業は売掛債権の譲渡を知らされません。
そのため、売掛先企業との関係を損なう心配がありません。
3者間ファクタリングでは、売掛先企業は売掛債権の譲渡を知らされます。
そのため、売掛先企業からの信頼度や評価が下がる可能性があります。
売掛先企業との関係を重視する場合は、2者間ファクタリングを利用することがおすすめです。
赤字・税金滞納などがあっても利用できる
ファクタリングでは、利用者の経営状況や信用力よりも、売掛債権の内容や売掛先企業の信用力を重視して審査します。
そのため、赤字や税金滞納などがあっても利用できる可能性があります。
赤字や税金滞納などは、銀行融資など他の資金調達手段では審査に不利になる要因です。
銀行融資などでは、利用者の経営状況や信用力を評価するために、決算書や税務署からの証明書などの書類を提出する必要があります。
また、赤字や税金滞納などがあると、信用情報に悪影響を与えることもあります。
そのため、銀行融資などでは、審査に通らない場合や利用できる額が少なくなる場合があります。
ファクタリングでは、売掛債権の内容や売掛先企業の信用力を評価するために、売掛帳や売掛先企業の情報などを提出する必要があります。
また、赤字や税金滞納などがあっても、信用情報に影響しないことが多いです。
そのため、ファクタリングでは、審査に通りやすく、利用できる額も多くなる可能性があります。
ただし、ファクタリングでは、売掛債権の内容や売掛先企業の信用力によっては、買取りできない場合や費用が高くなる場合もあります。
そのため、ファクタリングを利用する際は、ファクタリング会社との契約内容や条件をよく確認することが重要です。
売掛金が未回収になるリスクを軽減できる
ファクタリングでは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金が未回収になるリスクを軽減できます。
特に、償還請求権がない場合は、売掛先企業が支払いをしなくても、ファクタリング会社が責任を負うことになります。
そのため、売掛先企業の倒産や延滞などによる資金繰りの悪化を防ぐことができます。
売掛金を早期に資金化できる
ファクタリングでは、売掛金を支払期日よりも早く現金化することができます。
そのため、資金回転率が向上し、キャッシュフローが改善されます。
資金回転率とは、売上高を平均資産で割った値で、資産の効率的な活用度を表します。
資金回転率が高いほど、資産の回収速度が速く、利益率が高くなります。
キャッシュフローとは、現金の収入と支出の差額で、企業の経営安定度や成長力を表します。
キャッシュフローが増えるほど、経営に余裕が生まれ、投資や設備投資などに活用できます。
銀行融資など他の資金調達手段より簡単で早い
ファクタリングでは、銀行融資など他の資金調達手段よりも簡単で早く資金調達ができます。
銀行融資などでは、審査に時間がかかり、担保や保証人などの条件が必要になることもあります。
また、利用限度額や返済期間などの制約もあります。
ファクタリングでは、審査は売掛債権の内容や売掛先企業の信用力に基づいて行われるため、比較的容易です。
また、担保や保証人は不要です。
利用限度額は売掛債権の額に応じて決まりますし、返済期間は存在しません。
そのため、自由度が高く柔軟に利用できます。
ファクタリングの注意点
ファクタリングには以下のような注意点もあります。
- 費用が高い
- 契約内容や条件によっては不利になる
- 売掛先企業との関係が悪化する可能性がある（3者間）
- 売掛債権以外の資産は利用できない
費用が高い
ファクタリングでは、ファクタリング会社から手数料や利息などの費用を支払う必要があります。
費用は売掛債権の額や支払期日、売掛先企業の信用力などによって異なりますが、一般的には売掛債権の額の数％から数十％程度です。
銀行融資などと比べると、費用が高いと感じる場合もあります。
そのため、ファクタリングを利用する際は、費用対効果を考えることが重要です。
契約内容や条件によっては不利になる
ファクタリングでは、ファクタリング会社との契約内容や条件によっては、不利になる場合もあります。
たとえば、償還請求権がある場合は、売掛先企業が支払いをしなかった場合に、ファクタリング会社から返済を求められることがあります。
また、売掛債権の譲渡後に売掛先企業から返品や値引きなどの要求があった場合に、ファクタリング会社から差額を請求されることがあります。
そのため、ファクタリングを利用する際は、契約内容や条件をよく確認することが重要です。
売掛先企業との関係が悪化する可能性がある（3者間）
3者間ファクタリングでは、売掛先企業は売掛債権の譲渡を知らされます。
そのため、売掛先企業からの信頼度や評価が下がる可能性があります。
また、売掛先企業はファクタリング会社に支払いをすることになりますが、ファクタリング会社の対応や手続きに不満を持つこともあります。
その結果、売掛先企業との関係が悪化し、取引が減少したり中止したりすることもあります。
そのため、3者間ファクタリングを利用する際は、売掛先企業との関係を考慮することが重要です。
売掛債権以外の資産は利用できない
ファクタリングでは、売掛債権以外の資産は利用できません。
たとえば、在庫や設備などの有形資産や特許や商標などの無形資産は資金化できません。
また、売掛債権でも支払期日が長いものや信用力の低いものは買取りできない場合もあります。
そのため、ファクタリングでは資金調達できる範囲が限られているという点に注意する必要があります。
ファクタリングのおすすめのケース
ファクタリングは以下のようなケースでおすすめです。
- 急な資金需要に対応したい
- 銀行融資など他の資金調達手段が難しい
- 売掛金回収に時間や手間がかかっている
- 売掛金回収に不安がある
- 資金回転率やキャッシュフローを改善したい
急な資金需要に対応したい
急な資金需要に対応したい場合は、ファクタリングがおすすめです。
急な資金需要とは、たとえば、新規事業や設備投資などの機会に出会った場合や、原材料や人件費などの経費が増えた場合、税金や借入金などの支払いが迫った場合などです。
このような場合は、早急に資金を調達する必要がありますが、銀行融資など他の資金調達手段では、審査に時間がかかったり、条件が厳しかったり、利用できる額が少なかったりすることもあります。
そのため、急な資金需要に対応できない場合や対応できても不十分な場合があります。
ファクタリングでは、最短即日で資金調達が可能で、最近ではオンラインでお申込みから資金調達までできるファクタリング会社が増え、資金調達までの時間がより短くなっています。
また、審査は売掛債権の内容や売掛先企業の信用力に基づいて行われるため、比較的容易です。
さらに、利用限度額は売掛債権の額に応じて決まりますし、返済期間は存在しません。
そのため、自由度が高く柔軟に利用できます。
ファクタリングを利用することで、急な資金需要に素早く効果的に対応することができます。
銀行融資など他の資金調達手段が難しい
銀行融資など他の資金調達手段が難しい場合は、ファクタリングがおすすめです。
銀行融資などでは、審査に時間がかかったり、担保や保証人などの条件が必要になったり、利用限度額や返済期間などの制約があったりします。
そのため、利用できない場合や利用できても不十分な場合があります。
ファクタリングでは、審査は売掛債権の内容や売掛先企業の信用力に基づいて行われるため、比較的容易です。
また、担保や保証人は不要です。利用限度額は売掛債権の額に応じて決まりますし、返済期間は存在しません。
そのため、自由度が高く柔軟に利用できます。
売掛金回収に時間や手間がかかっている
売掛金回収に時間や手間がかかっている場合は、ファクタリングがおすすめです。
売掛金回収には、催促や督促などの作業が必要ですし、支払期日が遅れたり延滞したりすることもあります。
そのため、売掛金回収には多くの時間や手間がかかります。
ファクタリングでは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金回収の負担を軽減できます。
ファクタリング会社が売掛先企業から支払いを受け取ることになるため、催促や督促などの作業をする必要がありません。
また、支払期日よりも早く現金を受け取ることができるため、支払いの遅れや延滞による影響を受けません。
売掛金回収に不安がある
売掛金回収に不安がある場合は、ファクタリングがおすすめです。
売掛金回収には、売掛先企業の支払い能力や信用力に依存します。
そのため、売掛先企業が倒産したり破産したりすると、売掛金が未回収になる可能性があります。
ファクタリングでは、売掛債権をファクタリング会社に譲渡することで、売掛金回収の不安を解消できます。
特に、償還請求権がない場合は、売掛先企業が支払いをしなくても、ファクタリング会社が責任を負うことになります。
そのため、売掛先企業の倒産や破産などによる損失を防ぐことができます。
資金回転率やキャッシュフローを改善したい
資金回転率やキャッシュフローを改善したい場合は、ファクタリングがおすすめです。
ファクタリングでは、売掛金を支払期日よりも早く現金化することができます。
そのため、資金回転率が向上し、キャッシュフローが改善されます。
資金回転率が高いほど、資産の回収速度が速く、利益率が高くなります。
キャッシュフローが増えるほど、経営に余裕が生まれ、投資や設備投資などに活用できます。
ファクタリングを利用することで、経営の効率化や成長につなげることができます。
おすすめのファクタリングサービス
ファクタリングの利用目的やニーズに合わせて、以下のようなサービスをご紹介します。
入金速度を重視するなら『ペイトナーファクタリング』
ペイトナーファクタリングは、最短即日で売掛金を現金化できるサービスです。
手数料は10%と高めですが、最低買取額は10万円からと低く、個人事業主や小規模事業者でも利用しやすいです。
また、取引先への通知は不要で、債権譲渡登記も必要ありません。
オンラインで申し込みから入金まで完結できるため、手続きも簡単です。
急な資金調達に困っている方におすすめです。
手数料を重視するなら『PayToDay』
PayToDayは、手数料が1%から9.5%と低く、売掛金の額に応じて割引率が適用されるサービスです。
最低買取額は50万円からとやや高めですが、最高買取額は無制限で、大口の売掛金も対応できます。
また、2社間・3社間どちらも利用でき、取引先への通知も不要です。
オンラインで申し込みから入金まで完結できるため、手続きも簡単です。手数料を抑えたい方におすすめです。
少額買取で利用するなら『QuQuMo』
QuQuMoは、最低買取額が1万円からと非常に低く、少額の売掛金でも利用できるサービスです。
手数料は1%から14.8%と幅広く、売掛金の額や支払期日によって変動します。
また、2社間ファクタリングのみ対応していますが、取引先への通知は不要で、債権譲渡登記も必要ありません。
オンラインで申し込みから入金まで完結できるため、手続きも簡単です。
少額でも資金調達したい方におすすめです。
まとめ
ファクタリングとは、売掛金を売却することによって早めに現金を手にする資金調達の方法です。
ファクタリングにはメリットと注意点があります。
メリットは、最短即日で資金調達できることや信用情報に影響なしで利用できることなどです。
注意点は、費用が高いことや契約内容や条件によっては不利になることなどです。
ファクタリングは、急な資金需要に対応したい場合や売掛金回収に時間や手間がかかっている場合などにおすすめです。
