マウスピース矯正とは、透明なプラスチック製のマウスピースを装着して歯を動かしていく矯正方法です。
マウスピース矯正の代表的なブランドとしては、インビザラインやクリアコレクト、キレイラインなどが挙げられます。
他にも、Zenyum(ゼニュム)やOh my teeth(オーマイティース)など、通院回数を減らしたり、費用を抑えたりすることができるブランドもあります。
マウスピース矯正のメリットは、見た目が目立たないことや、自分で装着・外すことができることなどが挙げられます。
しかし、マウスピース矯正には「歯を削る」という処置が必要になる場合があります。
この記事では、マウスピース矯正で歯を削る理由や方法、メリット・デメリットなどについて詳しく解説します。
マウスピース矯正で歯を削る理由は?
マウスピース矯正で歯を削る処置のことを「IPR(Interproximal Reduction)」や「ディスキング」「ストリッピング」と呼びます。
これは、歯と歯の間に細いヤスリやディスク状の器具を入れて、歯の表面を薄く削っていく方法です。
IPRで削る量は、歯の片面で0.1~0.25mm程度で、両側でも0.5mm以内です。
この処置は、以下のような目的で行われます。
歯を動かすスペースを作る
歯並びが悪い場合、歯を動かすためには十分なスペースが必要です。
しかし、あごの大きさや歯の大きさによっては、自然に空いているスペースが少ない場合があります。
そのような場合、IPRで歯と歯の間にわずかな隙間を作ることで、歯を動かしやすくします。
IPRによって抜歯をしなくて済む場合もあります。
歯の形や大きさを整える
上下の歯の大きさや形がバランスよく揃っていないと、噛み合わせが悪くなったり、見た目が不自然になったりすることがあります。
IPRで歯の形や大きさを調整することで、噛み合わせの機能や審美性を向上させます。
ブラックトライアングルを改善する
ブラックトライアングルとは、歯ぐきが下がってしまったり、歯と歯の間に隙間があることで、黒い三角形の影ができてしまう現象です。
これは、見た目だけでなく、食べ物が詰まりやすく虫歯や歯周病の原因にもなります。
IPRで歯と歯の間を削って整えた後、マウスピース矯正で隙間を埋めることで、ブラックトライアングルを解消します。
後戻りを防ぐ
歯列矯正を終えても、保定期間が不十分だったり、リテーナー(保定装置)の使用を怠ったりすると、元の位置に戻ろうとする力に負けて後戻りしてしまうことがあります。
IPRで隣り合う歯と歯の接着面積を増やすことで、キレイに並んだ歯列が安定しやすくなります。
マウスピース矯正で歯を削るメリット・デメリットは?
IPRには以下のようなメリットとデメリットがあります。
マウスピース矯正で歯を削るメリット
抜歯をしないで済む場合がある
抜歯は、健康な歯を失うことになりますし、痛みや出血、感染のリスクもあります。
抜歯は、歯列矯正のために必要なスペースを作る方法の一つですが、他にも方法があります。
IPRは、歯と歯の間に細いヤスリやディスク状の器具を入れて、歯の表面を薄く削っていく方法です。
IPRで削る量は、歯の片面で0.1~0.25mm程度で、両側でも0.5mm以内です。
この処置は、抜歯よりも低侵襲で安全ですし、傷口の治癒や骨の再生を待つ必要もありません。
IPRによって抜歯をしなくて済む場合もあります。
治療期間が短くなる場合がある
抜歯をする場合、傷口の治癒や骨の再生を待ってから矯正治療を始める必要があります。
また、抜歯によってできた大きな隙間を埋めるためには、歯を大きく動かす必要があります。
これらのことは、治療期間を長くする要因になります。
IPRなら、抜歯の待ち時間や隙間埋めの時間を省くことができる場合があります。
IPRで作った隙間は、マウスピース矯正で徐々に埋めていくことができます。
マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを装着して歯を動かしていく矯正方法です。
マウスピースは2週間ごとに交換し、約20~30枚ほど使用します。
マウスピース矯正は、装着時間が長ければ長いほど効果的です。
虫歯や歯周病予防につながる
IPRによって歯と歯の間の隙間が小さくなれば、食べ物が詰まりにくくなります。
食べ物が詰まると、細菌が増殖しやすくなり、虫歯や歯周病の原因になります。
また、IPRでブラックトライアングルを改善することもできます。
ブラックトライアングルとは、歯ぐきが下がってしまったり、歯と歯の間に隙間があることで、黒い三角形の影ができてしまう現象です。
これは、見た目だけでなく、食べ物が詰まりやすく虫歯や歯周病の原因にもなります。
IPRで歯と歯の間を削って整えた後、マウスピース矯正で隙間を埋めることで、ブラックトライアングルを解消します。
口元の見た目がよくなる
IPRによって歯の形や大きさを整えることで、噛み合わせや審美性が向上します。
上下の歯の大きさや形がバランスよく揃っていないと、噛み合わせが悪くなったり、見た目が不自然になったりすることがあります。
IPRで歯の形や大きさを調整することで、噛み合わせの機能や審美性を向上させます。
また、ブラックトライアングルを解消することで、笑った時に黒い影が見えなくなります。
これらは、口元の見た目をより美しくする効果があります。
マウスピース矯正で歯を削るデメリット
作れるスペースは限られている
IPRで作れるスペースは、歯1本あたり0.5mm以内です。
これは、エナメル質(歯の表面の硬い層)の厚さや神経への影響を考慮して定められています。
したがって、IPRだけではスペースが足りない場合もあります。
その場合は、抜歯や顎の手術など他の方法を検討する必要があります。
抜歯や顎の手術は、IPRよりも侵襲性が高く、リスクや費用も高くなります。
一時的に食べ物が挟まりやすくなる
IPRで歯と歯の間に隙間を作った直後は、食べ物が挟まりやすくなります。
これは、マウスピース矯正で隙間を埋めていく過程で自然に解消されますが、その間は清潔に保つために丁寧にブラッシングやフロスをする必要があります。
食べ物が詰まると、細菌が増殖しやすくなり、虫歯や歯周病の原因になります。
一時的にしみることがある
IPRで削った部分はエナメル質が薄くなっているため、冷たいものや甘いものを食べた時にしみることがあるかもしれません。
これも時間とともに回復しますが、その間は刺激物を避けたり、フッ素入りのマウスウォッシュやジェルなどでケアすることがおすすめです。
しみることは、不快感だけでなく、神経が露出している可能性も示しています。
神経が露出すると、感染や神経死などの重篤な状態になる可能性があります。
歯ぐきが腫れる場合がある
IPRで歯と歯の間に器具を入れたり、歯の表面を削ったりすることで、歯ぐきに刺激を与えることになります。
そのため、一時的に歯ぐきが腫れたり、赤くなったりすることがあります。
これは、炎症の反応であり、通常は数日で治まります。
しかし、腫れや痛みが長く続く場合や、出血や膿が出る場合は、歯周病などの重篤な状態の可能性があります。
その場合は、すぐに矯正歯科医に相談してください。
マウスピース矯正で歯を削る前に知っておくべきことは?
IPRは、マウスピース矯正の効果を高めるために行われる処置ですが、必ずしも必要なわけではありません。
IPRが必要かどうかは、個人の歯並びや目的によって異なります。
また、IPRにはメリットだけでなくデメリットもあります。
したがって、マウスピース矯正で歯を削る前には、以下のことを知っておくべきです。
IPRの必要性や適応範囲を矯正歯科医に説明してもらう
IPRは、マウスピース矯正の一部として行われる処置ですが、それだけでは完全な治療計画ではありません。
IPRをするかどうかは、あなたの歯並びや目的に応じて矯正歯科医が判断します。
IPRをする場合でも、どの歯をどれだけ削るかは個々に異なります。
そのため、IPRの必要性や適応範囲については、事前に矯正歯科医に詳しく説明してもらうことが大切です。
IPRは、以下のような場合に必要になることがあります。
歯並びが悪い場合
歯並びが悪い場合、歯を動かすためには十分なスペースが必要です。
しかし、あごの大きさや歯の大きさによっては、自然に空いているスペースが少ない場合があります。
そのような場合、IPRで歯と歯の間にわずかな隙間を作ることで、歯を動かしやすくします。
歯の形や大きさがバランスよく揃っていない場合
上下の歯の大きさや形がバランスよく揃っていないと、噛み合わせが悪くなったり、見た目が不自然になったりすることがあります。
IPRで歯の形や大きさを調整することで、噛み合わせの機能や審美性を向上させます。
ブラックトライアングルがある場合
ブラックトライアングルとは、歯ぐきが下がってしまったり、歯と歯の間に隙間があることで、黒い三角形の影ができてしまう現象です。
これは、見た目だけでなく、食べ物が詰まりやすく虫歯や歯周病の原因にもなります。
IPRで歯と歯の間を削って整えた後、マウスピース矯正で隙間を埋めることで、ブラックトライアングルを解消します。
後戻りを防ぎたい場合
歯列矯正を終えても、保定期間が不十分だったり、リテーナー(保定装置)の使用を怠ったりすると、元の位置に戻ろうとする力に負けて後戻りしてしまうことがあります。
IPRで隣り合う歯と歯の接着面積を増やすことで、キレイに並んだ歯列が安定しやすくなります。
IPRのリスクや費用を把握する
IPRは、比較的安全で低侵襲な処置ですが、ゼロリスクではありません。
IPRで削った部分は元に戻らないため、後悔する可能性もあります。
また、IPRで歯を削ることで感染や神経障害などの合併症が起こる可能性も否定できません。
さらに、IPRはマウスピース矯正の費用に含まれていない場合もあります。
その場合は、別途費用が発生することを覚悟しなければなりません。
IPRのリスクや費用については、以下のようなことを知っておく必要があります。
IPRで削った部分は元に戻らない
IPRで削った部分はエナメル質が薄くなってしまいます。
エナメル質は、歯の表面を覆っている硬い層で、歯を守る役割を果たしています。
エナメル質は、一度削ると自然に再生することはありません。
そのため、IPRで削った部分は元に戻らないことを理解しておく必要があります。
IPRで削った部分が気になる場合は、ホワイトニングやボンディングなどの方法で対処することができますが、これらも費用やリスクがかかります。
IPRで歯を削ることで感染や神経障害などの合併症が起こる可能性がある
IPRで歯を削ることで、歯の表面に傷がついたり、神経が露出したりする可能性があります。
これらは、感染や神経障害などの合併症の原因になる可能性があります。
感染や神経障害は、痛みや腫れ、発熱などの症状を引き起こし、重篤な場合には抗生物質や根管治療などの処置が必要になります。これらの処置は、費用やリスクも高くなります。
IPRはマウスピース矯正の費用に含まれていない場合がある
マウスピース矯正の費用は、個人の歯並びや目的によって異なりますが、一般的には数十万円から数百万円程度です。
しかし、この費用にはIPRの費用が含まれていない場合もあります。
IPRの費用は、削る歯の数や量によって異なりますが、一般的には数千円から数万円程度です。
IPRをする場合は、事前に矯正歯科医に見積もりを出してもらうことが大切です。
IPR後のアフターケアを守る
IPR後は、歯と歯ぐきの状態が敏感になっている可能性があります。
そのため、IPR後のアフターケアを守ることが重要です。具体的には、以下のようなことを心がけましょう。
マウスピースを定期的に交換し、装着時間を守る
マウスピース矯正では、透明なプラスチック製のマウスピースを装着して歯を動かしていきます。
マウスピースは2週間ごとに交換し、約20~30枚ほど使用します。マウスピース矯正は、装着時間が長ければ長いほど効果的です。
一日に最低20時間以上装着することが推奨されます。
食事や歯磨きの時以外は外さないようにしましょう。
マウスピースを外したら清潔に保つことも忘れないでください。
マウスピースを外す前後に手を洗う
マウスピースを外す前後には、手を洗うことが大切です。
手には細菌が付着している可能性があります。手が汚れたままマウスピースを触ると、細菌がマウスピースに移ってしまうことがあります。
また、マウスピースを外した後に手を洗わないと、細菌が手から口に入ってしまうことがあります。
これらは、感染や虫歯や歯周病の原因になる可能性があります。
マウスピースを外したら清潔に保つ
マウスピースを外したら、清潔に保つことも大切です。
マウスピースには唾液や食べ物のかすなどが付着している可能性があります。
これらは、細菌のエサになり、マウスピースを汚くしたり、臭くしたりすることがあります。
また、汚れたマウスピースを装着すると、細菌が口に入ってしまうことがあります。
これらは、感染や虫歯や歯周病の原因になる可能性があります。
マウスピースを外したら、専用のクリーナーや水で洗って乾かしましょう。
食後や就寝前に丁寧にブラッシングやフロスをする
食後や就寝前には、丁寧にブラッシングやフロスをすることが大切です。
ブラッシングやフロスは、歯や歯ぐきの健康を保つための基本的なケアです。
食べ物のかすやプラークなどを除去することで、虫歯や歯周病の予防につながります。
また、ブラッシングやフロスをしないでマウスピースを装着すると、食べ物のかすやプラークなどがマウスピースに付着してしまうことがあります。
これらは、マウスピースを汚くしたり、臭くしたりすることがあります。
また、汚れたマウスピースを装着すると、細菌が口に入ってしまうことがあります。
これらは、感染や虫歯や歯周病の原因になる可能性があります。
刺激物を避けたり、フッ素入りのマウスウォッシュやジェルなどでケアする
IPRで削った部分はエナメル質が薄くなっているため、冷たいものや甘いものを食べた時にしみることがあるかもしれません。
これも時間とともに回復しますが、その間は刺激物を避けたり、フッ素入りのマウスウォッシュやジェルなどでケアすることがおすすめです。
刺激物は、エナメル質をさらに削り取ったり、神経を刺激したりすることがあります。
フッ素入りのマウスウォッシュやジェルは、エナメル質の再石灰化(硬化)を促進したり、細菌の増殖を抑えたりすることがあります。
定期的に矯正歯科医に診てもらう
IPR後は、定期的に矯正歯科医に診てもらうことが大切です。
矯正歯科医は、IPRで削った部分やマウスピースの状態をチェックしてくれます。
また、マウスピースの交換や調整も行ってくれます。
矯正歯科医に診てもらうことで、マウスピース矯正の効果を確認したり、問題があれば早期に対処したりすることができます。
まとめ
この記事では、マウスピース矯正で歯を削る理由や方法、メリット・デメリットなどについて詳しく解説しました。
マウスピース矯正は、見た目が目立たないことや、自分で装着・外すことができることなどが魅力的な矯正方法です。
しかし、マウスピース矯正には「歯を削る」という処置が必要になる場合があります。
この処置は、個人の歯並びや目的によって異なりますし、メリットだけでなくデメリットもあります。
したがって、マウスピース矯正で歯を削るかどうかは、よく考えて決める必要があります。
もしマウスピース矯正で歯を削ることに興味がある方は、まずは矯正歯科医に相談してみてください。

