ハクビシンは、アライグマに似たふさふさした尾と白黒の顔が特徴的な動物です。日本では外来種として定着しており、都市部でも見かけることがあります。しかし、ハクビシンは人間にとってさまざまな被害をもたらす厄介な存在でもあります。この記事では、ハクビシンの害とその対策について詳しく解説します。
ハクビシンの害とは
ハクビシンによる被害は、主に以下の3つに分けられます。
- 農作物の食害
- 家屋の破損
- 健康被害
それぞれの被害について見ていきましょう。
農作物の食害
ハクビシンは雑食性で、甘い果物や野菜が大好物です。特にスイカやイチゴ、トウモロコシなどの作物は、ハクビシンの格好のエサになります。ハクビシンは木登りが得意なので、柵やネットなどの防御策を簡単にかわして畑に侵入し、作物を食い荒らします。ハクビシンによる農作物の被害額は、令和2年度の全国の野生鳥獣による農作物被害状況の資料によると、約4億3千4百万円にものぼります。
ハクビシンの食害の特徴は、以下のようなものがあります。
- 果樹の実が木についたままかじられている
- 地面に果実の皮が散らばっている
- スイカの食べ跡の穴が大きい
- トウモロコシの茎を完全には倒さず斜めにして実を食べる
これらの痕跡がある場合は、ハクビシンの食害の可能性が高いです。
家屋の破損
ハクビシンは、民家の屋根裏や天井裏などに巣を作って住み着くことがあります。ハクビシンは巣を作るために、断熱材や電線などをかじったり引きちぎったりします。また、ハクビシンはため糞という習性があり、決まった場所に糞尿をします。これらの行為により、家屋に以下のような被害が発生します。
- 天井や壁のシミや悪臭
- 天井板や屋根の腐食や抜け落ち
- 電気や水道の故障やショート
- 防火設備の損傷や火災の危険
ハクビシンが家に住み着いているかどうかは、以下のような特徴で判断できます。
- 屋根裏からドタバタという足音や鳴き声が聞こえる
- フンの長さが5~15cmで種子などが混ざっている
- 足跡が5本指で肉球の跡が丸く、前足より後足の方が長い
これらの特徴がある場合は、ハクビシンが家に住み着いている可能性が高いです。
健康被害
ハクビシンは、人獣共通感染症や寄生虫などの媒介者となることがあります。ハクビシンが家に侵入したり、作物を食べたりした場合、それらの病原体が人間に感染する危険性があります。ハクビシンから感染するおそれのある疾病は、以下のようなものがあります。
- 接触感染による疾病:疥癬(かいせん)、皮膚糸状菌症、ツツガムシ病、レプトスピラ症など
- 経口感染による疾病:サルモネラ菌食中毒、カンピロバクター食中毒、エルシニア食中毒、トキソプラズマ症など
- 今後発生を注意すべき疾病:狂犬病、エキノコックス症、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)など
これらの疾病は、発症すると重篤な症状を引き起こすことがあります。特に疥癬は、ハクビシンが宿主となっているヒゼンダニが人間に寄生した際に起こる皮膚の病気で、強いかゆみや皮膚の荒れなどの症状が出ます。ヒゼンダニはハクビシンの毛や角質の一部に触れた場合にも感染する恐れがあります。
ハクビシンの対策とは
ハクビシンの被害を防ぐためには、ハクビシンを寄せ付けない、侵入させない、住み着かせないということが重要です。そのために自分でできる対策は、以下のようなものがあります。
- 忌避剤を使う
- 電気柵を設置する
- くん煙剤を使う
- 侵入口を封鎖する
それぞれの対策について詳しく見ていきましょう。
忌避剤を使う
忌避剤とは、ハクビシンの嫌いなニオイ成分でハクビシンを寄せ付けないようにする薬剤です。天然成分からできているものがほとんどで、正しく使えば作物に害を与えません。手軽に使えるので、農作物の食害を防ぐのに効果的です。
忌避剤は、スプレーや粉末、液体などの形で市販されています。ハクビシンの嫌いなニオイ成分としては、唐辛子、ニンニク、タバスコ、ワサビ、ネコの尿などがあります。忌避剤は、ハクビシンが侵入しやすい場所や食べそうな作物の周りに散布します。忌避剤の効果は、気温や湿度、雨などの影響で変わるので、定期的に補充する必要があります。忌避剤は、ハクビシンを完全に追い払うことはできませんが、一定の効果は期待できます。
電気柵を設置する
電気柵とは、ハクビシンに電流を流して驚かせて追い払う装置です。電気柵は、ハクビシンが侵入しやすい場所や作物の周りに張り巡らせます。電気柵は、ハクビシンに対して強い威嚇効果がありますが、人間やペットにも危険なので、注意して設置する必要があります。電気柵の設置には、専門の業者に依頼することが望ましいです。
くん煙剤を使う
くん煙剤とは、ハクビシンが巣を作っている屋根裏や天井裏などに煙を発生させて追い出す薬剤です。くん煙剤は、ハクビシンの嫌いなニオイ成分や辛味成分を含んでおり、ハクビシンに強い刺激を与えます。くん煙剤は、ハクビシンが巣を作っている場所に直接投入します。くん煙剤の使用には、以下のような注意点があります。
- くん煙剤は火気を使うので、火災の危険がある
- くん煙剤は人間やペットにも有害なので、使用中は屋内に入らない
- くん煙剤はハクビシンを追い出すだけで、再侵入を防ぐことはできない
侵入口を封鎖する
侵入口を封鎖するとは、ハクビシンが家に入ってこないようにすることです。ハクビシンは、屋根の隙間や換気口、雨どいなどを利用して家に侵入します。侵入口を封鎖するには、以下のような方法があります。
- 屋根の隙間や換気口に金網や板などを取り付ける
- 雨どいに金網や針金などを巻きつける
- ハクビシンが登れないように木や植木鉢などを移動させる
侵入口を封鎖することは、ハクビシンの被害を根本的に防ぐことができますが、ハクビシンが家に住み着いている場合は、先に追い出す必要があります。
まとめ
ハクビシンは、農作物の食害、家屋の破損、健康被害などのさまざまな被害をもたらす外来種です。ハクビシンの被害を防ぐためには、忌避剤を使う、電気柵を設置する、くん煙剤を使う、侵入口を封鎖するなどの対策があります。ハクビシンの被害に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。