今回は、売掛金買取というサービスについて詳しく解説していきます。
売掛金買取とは、企業が保有する売掛金をファクタリング会社に売却し、現金化することで資金を調達する方法です。
売掛金とは、商品やサービスを販売した代金の後払い分のことで、通常は一定期間後に支払われるものですが、その間に資金が必要になる場合があります。
そんなときに、売掛金買取を利用することで、すぐに現金を手に入れることができます。
では、売掛金買取のメリットやデメリット、利用方法などを見ていきましょう。
売掛金買取のメリット
売掛金買取のメリットは、主に以下の4つに分けられます。
資金繰りの改善
売掛金買取は、売掛金を現金化することで、資金繰りを改善することができます。
資金繰りとは、企業が必要な時に必要なだけの資金を確保できるかどうかを表すものです。
資金繰りが悪いと、経営に支障をきたしたり、倒産の危機に陥ったりする可能性があります。
売掛金買取を利用することで、売掛金の回収期間を待たずに現金を手に入れることができるため、資金繰りの安定性や柔軟性が高まります。
現金化した資金は、経費や人件費の支払いや設備投資などに自由に使うことができます。
借入金や利息の発生を防ぐ
売掛金買取は、自社の持つ債権を売却することで資金を調達するため、借入金や利息が発生しません。
借入金や利息は、企業の負債や費用として計上されるため、利益やキャッシュフローに悪影響を与えます。
また、借入金や利息は返済義務が発生するため、資金繰りにも負担となります。
売掛金買取を利用することで、借入金や利息の発生を防ぐことができるため、企業の財務状況や信用力を向上させることができます。
審査が簡単
売掛金買取は、ファクタリング会社に対して審査を受ける必要がありますが、その審査は比較的簡単です。
ファクタリング会社は、債権者の信用力や経営状況よりも、債務者の信用力や支払能力を重視します。
そのため、債務者が大手企業や公共機関などであれば、債権者が中小企業や個人事業主であっても審査に通りやすいです。
また、ファクタリング会社は多くの場合、担保や保証人を求めません。
これらの点から、銀行融資などに比べて審査が簡単であるといえます。
バランスシートのスリム化が可能
売掛金買取は、債権を譲渡することでバランスシート上の資産から除外されます。
その結果、流動比率や自己資本比率などの財務指標が改善されることが期待できます。
流動比率とは、流動資産(現預金や売掛金など)を流動負債(借入金や未払い経費など)で割ったもので、1以上であれば短期的な支払い能力があると判断されます。
自己資本比率とは、自己資本(資本金や利益など)を総資産で割ったもので、高ければ高いほど財務基盤が強いと判断されます。
売掛金買取を利用することで、流動資産や総資産が減少するため、これらの指標が上昇することになります。
これは、企業の健全性や信用力を高めることにつながります。
売掛金買取のデメリット
売掛金買取のデメリットは、主に以下の4つに分けられます。
手数料が高め
売掛金買取は、ファクタリング会社に手数料を支払う必要があります。
手数料は債権額面の5%~20%程度とされており、ファクタリングの種類や債権の性質によって異なります。
2社間ファクタリングの場合は、手数料が高めに設定されることが多いです。
手数料は利益に直接影響するため、利用する前に必ず確認しておきましょう。
手数料が高すぎると、売掛金買取のメリットを上回る可能性があります。
さらに資金繰りが悪化する可能性がある
売掛金買取は、売掛金を現金化することで一時的に資金繰りを改善できますが、その後の資金繰りを考えなければなりません。
売掛金を現金化した分だけ、将来の収入が減ることになります。
そのため、現金化した資金を有効に活用しなければ、さらに資金繰りが悪化する可能性があります。
例えば、現金化した資金を無駄遣いしたり、設備投資や人材採用などの収益性の低い活動に使ったりすると、資金繰りのバランスが崩れることがあります。
債権譲渡登記を求められることがある
売掛金買取は、債権を譲渡することで行われますが、その際に債権譲渡登記を求められることがあります。
債権譲渡登記とは、債権の所有者が変わったことを法務局に登録することで、第三者に対して債権譲渡の効力を主張できるようにするものです。
債権譲渡登記を行うことで、ファクタリング会社は債権回収の安全性を高めることができますが、利用者側は登記費用や手間がかかるだけでなく、売掛先や取引銀行などにファクタリングの事実が知られるリスクも高まります。
特に2社間ファクタリングの場合は、売掛先に知らせずに債権を譲渡するため、信頼関係や取引条件が悪化する可能性があります。
悪徳業者に騙されるリスクがある
売掛金買取は、比較的新しいサービスであり、法的な規制も十分ではありません。
そのため、悪徳業者に騙されるリスクもあります。
例えば、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。
- 売掛先から支払われた売掛金をファクタリング会社が返さない
- 売掛先から支払われなかった売掛金を利用者に請求する
- 売掛先への督促や回収を過剰に行い、取引関係を損なう
- 高額な手数料や違約金を請求する
このようなトラブルを避けるためには、ファクタリング会社の選び方に注意する必要があります。
ファクタリング会社は、以下のような点で判断することができます。
- 事業歴や実績があるかどうか
- 買取率や手数料が明確かどうか
- 契約内容や責任範囲が明確かどうか
- サポート体制やアフターサービスが充実しているかどうか
- 評判や口コミが良いかどうか
ファクタリングの利用方法
ファクタリングを利用するには、以下のような手順を踏みます。
ファクタリング会社を選ぶ
まずは、自社のニーズに合ったファクタリング会社を選ぶ必要があります。
ファクタリング会社は、サービスの種類や手数料、審査基準、買取率などによって異なります。
インターネットや電話で相談や見積もりを受けることができますが、できれば直接会って信頼関係を築くことが望ましいです。
また、ファクタリング会社の実績や評判もチェックしておきましょう。
債権譲渡契約を結ぶ
ファクタリング会社と債権譲渡契約を結びます。
契約内容には、債権の額面や買取率、手数料、支払期日、回収方法などが記載されます。
契約書には必ず目を通して、不明な点や不利な点がないか確認しましょう。
また、債権譲渡登記を行うかどうかも決めます。
登記を行う場合は、登記費用や手続きについても確認しておきましょう。
売掛金を現金化する
債権譲渡契約が成立したら、売掛金を現金化します。
ファクタリング会社は、債権額面の一定割合(買取率)を利用者に支払います。
支払い方法は、銀行振込や現金手渡しなどがあります。
支払いまでの時間は、ファクタリングの種類やファクタリング会社によって異なりますが、通常は数日以内に行われます。
売掛先から回収する
売掛金の支払期日が来たら、売掛先から回収します。
回収方法は、ファクタリングの種類によって異なります。
3社間ファクタリングの場合は、ファクタリング会社が直接売掛先に督促や回収を行います。
2社間ファクタリングの場合は、利用者が売掛先に督促や回収を行い、その後ファクタリング会社に支払います。
回収時に発生する手数料や遅延損害金なども契約内容によって異なります。
ファクタリング会社の選び方
ファクタリング会社を選ぶときには、以下の6つのポイントに注意してください。
ファクタリング方式
ファクタリングには、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの2種類があります。
2社間ファクタリングは、売掛先に知らせずに債権を譲渡する方法で、秘匿性が高いですが、手数料が高めです。
3社間ファクタリングは、売掛先に知らせて債権を譲渡する方法で、手数料が安いですが、売掛先との関係が悪化する可能性があります。
自社のニーズや売掛先との信頼関係に応じて、適切な方式を選びましょう。
買取可能額
ファクタリング会社によって、買取可能な債権の金額に上限や下限が設定されている場合があります。
自社の売掛金の規模や資金調達の目的に合わせて、買取可能額の幅が広い会社を選びましょう。
償還請求権の有無
償還請求権とは、売掛先が支払いをしなかった場合に、ファクタリング会社が利用者に対して債権の返還を求める権利のことです。
償還請求権がある場合は、利用者は売掛先の支払いリスクを負担することになります。
償還請求権がない場合は、利用者は売掛先の支払いリスクを負担しないことになります。
償還請求権の有無は、手数料や買取率にも影響します。
自社の財務状況や売掛先の信用度に応じて、償還請求権の有無を確認しましょう。
入金スピード
ファクタリング会社によって、債権を現金化するまでにかかる時間が異なります。
一般的には、数日以内から数時間以内までさまざまです。
資金繰りの緊急度や計画性に応じて、入金スピードの早い会社を選びましょう。
信頼性
ファクタリング会社を選ぶときには、信頼性も重要なポイントです。
ファクタリング業界には、詐欺や悪徳業者も存在します。
信頼性の高い会社を選ぶためには、以下のようなチェックポイントを参考にしましょう。
- 運営会社の実績や評判を調べる
- 手数料や買取率などの条件を明確に提示しているか確認する
- 契約内容やサービス内容を詳しく説明してくれるか確認する
- インターネットや電話だけでなく、直接会って相談できるか確認する
自分の属性
ファクタリング会社を選ぶときには、自分の属性も考慮する必要があります。
ファクタリング会社によっては、以下のような属性に対応していない場合があります。
- 個人事業主
- 赤字決算
- 税金滞納
- 借入金あり
- 新規事業
自分の属性に合わせて、対応している会社を選びましょう。
おすすめのファクタリング会社
おすすめのファクタリング会社は、以下のような特徴を持つものです。
- 手数料が低く、買取率が高い
- 入金スピードが早く、即日入金に対応している
- 審査が簡単で、審査通過率が高い
- 2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの両方に対応している
- 信頼できる運営会社で、実績や評判が良い
このような基準に基づいて、おすすめのファクタリング会社を10社紹介します。
QuQuMo(ククモ)
手数料は1%~14.8%と低く、買取率は最大97%と高いです。
入金スピードは2時間~と早く、審査通過率は70%~98%と高いです。
2社間ファクタリングに対応しており、秘匿性も高いです。
運営会社は株式会社QuQuMoで、2019年に設立された新しい会社ですが、実績や評判も良好です。
ベストファクター
手数料は2%~と低く、買取率は最大95%と高いです。
入金スピードは即日~と早く、審査通過率は92.2%と高いです。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの両方に対応しており、柔軟性も高いです。
運営会社は株式会社ベストファクターで、2017年に設立された比較的新しい会社ですが、実績や評判も良好です。
ビートレーディング
手数料は2%~12%と低く、買取率は最大98%と高いです。
入金スピードは2時間~と早く、審査通過率は98%と高いです。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの両方に対応しており、柔軟性も高いです。
運営会社は株式会社ビートレーディングで、2016年に設立された比較的新しい会社ですが、実績や評判も良好です。
OLTA
手数料は2%~9%と低く、買取率は最大95%と高いです。
入金スピードは即日~と早く、審査通過率は記載なしですが、審査基準は緩やかです。
2社間ファクタリングに対応しており、秘匿性も高いです。
運営会社は株式会社OLTAで、2018年に設立された新しい会社ですが、実績や評判も良好です。
WIT
手数料は5%~と低く、買取率は最大95%と高いです。
入金スピードは2時間~と早く、審査通過率は95%(30万円以下の場合)と高いです。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの両方に対応しており、柔軟性も高いです。
運営会社は株式会社WITで、2019年に設立された新しい会社ですが、実績や評判も良好です。
イージーファクター
手数料は2%~8%と低く、買取率は最大95%と高いです。
入金スピードは最短30分と早く、審査通過率は記載なしですが、審査基準は緩やかです。
2社間ファクタリングに対応しており、秘匿性も高いです。
運営会社は株式会社イージーファクターで、2019年に設立された新しい会社ですが、実績や評判も良好です。
ネクストワン
手数料は1.5%~と低く、買取率は最大95%と高いです。
入金スピードは即日~と早く、審査通過率は記載なしですが、審査基準は緩やかです。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの両方に対応しており、柔軟性も高いです。
運営会社は株式会社ネクストワンで、2018年に設立された新しい会社ですが、実績や評判も良好です。
エスコム
手数料は1.5%~と低く、買取率は最大95%と高いです。入金スピードは即日~と早く、審査通過率は記載なしですが、審査基準は緩やかです。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの両方に対応しており、柔軟性も高いです。
運営会社は株式会社エスコムで、2017年に設立された比較的新しい会社ですが、実績や評判も良好です。
クイックマネジメント
手数料は20%(2社間)~10%(3社間)と高めですが、買取率は最大95%と高いです。
入金スピードは最短30分と早く、審査通過率は記載なしですが、審査基準は緩やかです。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの両方に対応しており、柔軟性も高いです。
運営会社は株式会社クイックマネジメントで、2016年に設立された比較的新しい会社ですが、実績や評判も良好です。
日本トラスト
手数料は1%~と低く、買取率は最大95%と高いです。
入金スピードは最短1営業日と早く、審査通過率は記載なしですが、審査基準は緩やかです。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの両方に対応しており、柔軟性も高いです。
運営会社は株式会社日本トラストで、2015年に設立された比較的新しい会社ですが、実績や評判も良好です。
まとめ
売掛金買取は、資金繰りに困ったときに便利なサービスですが、利用する前には必ずメリットとデメリットを比較検討しましょう。
また、ファクタリング会社の選び方や契約内容にも注意してください。
売掛金買取を上手に活用して、ビジネスの成功を目指しましょう。